拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの子の背中

あなたへ


あの子が武道を始めてから、6年目になりました。
高校生活にも、すっかり慣れたあの子は、
緊張感が解れたのか、
夜更かしをし過ぎて、朝が辛そうだったり、
学校から帰ると、お稽古の日にも関わらず、
疲れたから、お稽古は休みたいと、横になってしまったりと、
なんだかちょっと、
ダラけ過ぎているように見えました。


暫くの間、様子を見ていましたが、
先日、いつまで経っても状態の変わらないあの子を叱りました。


ダラダラと続けても意味はない
やる気がないのなら辞めなさいと。


そんな私の言葉に、反抗気味だったあの子。
あの日、あの子は、半分怒りながら、お稽古へと出掛けたのでした。


そうして、お稽古が終わり、
ちょっと、落ち込んだ様子で、帰って来きたあの子。


その日の練習は、今までになく、とても厳しく、
何故できないのだと、
先生から、凄く叱られたのだと話してくれました。


普段は、優しい先生。
近頃の、あの子のダラけた気持ちが、
先生の目に、はっきりと見えてしまったのでしょう。


帰ってからのあの子は、近頃の自分の様子に、反省しているようでした。
真剣さが、足りなかったと。


あれから、次のお稽古の日の事でした。
今日も叱られるのかな、なんて言いながらも、
嫌そうな様子もなく、元気に出掛けて行きました。


その背中に、ふと、思いました。
いつの間に、あんなに強くなったのだろうかと。


小さな頃は、泣き虫で、甘えん坊だったあの子。
時に弱音を吐きながら、後ろ向きになってしまう事もあったけれど、
それでも一所懸命に、前へと進んで来きました。


あの日の背中に、
いつの間にか、強さを身につけたあの子の成長を、
垣間見ることが出来ました。


そして、
私はあの子を、1人で育てているのではなく、
色々な人に助けて頂いているんだと感じました。


あれからのあの子は、
また、真剣に武道に取り組むようになりました。


ひとつの事を長く続けていく事は、
とても大変な事ですが、
あの子は、武道を辞めるという選択はしなかったようです。


時々には、また迷ったり、立ち止まったり、
繰り返しながら、
ひとつずつ乗り越え、あの子は少しずつ成長していくのでしょう。

 

 

 

 

 

 

コトバ -彼からの贈り物-

梅雨の中休み
夏雲が浮かぶ空を見上げたら
ハートの形の雲を見つけた


彼からの贈り物だろうか


なんて
都合のいい事を考えながら
無意識に緩んだ口元

 

元気ですか?
こちらはもうすぐ夏になります
あなたと出会った夏が来ます


返事は聞こえなくてもいい


きっと空に近い場所
私には聞こえない声で
語りかけていてくれる気がするもの


元気だよ
こっちの世界はね って


私の耳には届かない彼の声は
きっと あの頃のまま素敵で
何も変わらないの


空を見上げ そんな彼を想像してみた


やっぱりハートの形の雲は
彼からの贈り物としておこう


だって
その方がずっと楽しいもの

 

 

 

 

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エアコン

あなたへ


先日、やっと、エアコンの掃除をしました。
近頃は、とても暑く、そろそろエアコンの時期です。


掃除が終わり、試運転をしようと、
確かにリモコンを入れて置いたはずの場所を見たけれど、
そこには、リモコンがありませんでした。


あれ?ないよ


え?俺、触ってないよ


なんて、
あの子と2人、エアコンのリモコンを探していたら、
何故だか、テーブルの上に準備されていました。


あの子も私も、リモコンを触った覚えはなく、
思わず、あの子と2人で、あなたの顔を見てしまいました。


まさかね


そう2人で笑ったけれど、
夏の暑さが苦手だったあなた。
暑いから、早くエアコンつけようよって、
あなたが準備してくれたのかも知れないな
なんて、思いました。


あなたをそちらへ見送ってから、
時々、不思議で、胸が温かくなる出来事。


それは、いつでも突然で、
不意に、あなたが側にいてくれるような気がしてしまう、
微かなあなたの気配。


もしかしたら、あの子か私、
どちらかが、無意識にリモコンを準備したのかも知れません。


でも、何度思い返しても、その覚えがない私達は、
今回の件は、あなたが置いてくれたという事にしました。


だって、近頃のこちらの暑さには、
あなたなら絶対に、
暑い、暑いと大騒ぎで、
エアコンの効いた部屋で、
幸せそうにテレビを見るはずですもの。


そして、決まって、私に言うのです。
コーヒー飲みたいなって。