拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたを想う日 -2017-

あなたへ


あなたのその手の温かさを、
最後に確認してから、今日で、3年が経ちました。


今日は、あなたをたくさん想う日。


あなたと出会った時のこと。


あなたが、どんなふうに、笑っていたか。


初めて、手を繋いだこと。


たくさん、あなたの名前を、呼んだこと。


逢いたいって、
寂しがり屋の私のために、飛んできてくれましたね。
すぐに行くよ と。


あなたと、初めて、喧嘩した時の事。


喧嘩出来て、嬉しいだなんて、
私にはなかった発想に、なんだか、びっくりして、
嬉しかった。


プロポーズの言葉。


結婚式。


私から、両親への手紙を読んだ時には、あなたまで、
一緒に泣いていましたね。


初めて、私が待つ家に帰ってきた日の、
なんだか、照れくさそうなあなたの顔。


ただいま
おかえり って。


初めて、他の人から、
奥様って呼ばれて、照れた私を、
からかいながらも、なんだか、嬉しそうだったあなたの顔。


どこへでも、一緒に行こうと言ってくれた時の、あなたの顔。


初めて、あなたと一緒にスーパーへ買い物に行った時は、
なんだか、恥ずかしかった。


あの子と3人家族になった日のこと。


生まれたてのあの子を見つめる、
幸せそうだったあなたの顔。


笑うことを覚えたあの子と遊ぶあなたは、
すっかりパパの顔で、
あの子を愛おしそうに見つめながら、言いましたね。


この子には、いつも笑っていて欲しい と。


あの子の小さな成長を一緒に見つけながら、
一緒に、喜んだこと。


ひとつ、ひとつ、年を重ね、
バースデーケーキに立てたキャンドルの数だけ、幸せが増えていきました。


お誕生日おめでとう


クラッカーを鳴らし、盛大に始まるパーティは、
どの年にも、あなたの嬉しそうな顔がありました。


たくさん、喧嘩したこと。


どんなに喧嘩しても、
絶対に、仲直りする自信がありました。


だって、あなたとだから。


でも、時々、言い過ぎてしまったこと。
ごめんなさい。


突然の悲しい出来事があった日、
大泣きした私を抱きしめてくれたこと。


大丈夫、大丈夫って、
あなたは、ずっと、寄り添っていてくれましたね。


泣いていいんだよ と。


あなたは、いつでも、側にいてくれました。


楽しいことや、嬉しいことがあった数だけ、
一緒に笑いましたね。


喧嘩をしても、その数だけ、仲直りをしました。


当たり前は、当たり前じゃなくて、毎日が奇跡だったんだね。


今日は、たくさん、あなたを想い、
たくさん、泣いてもいい日。


でもね、本当は、知ってるよ。


こんなふうに、私が悲しい気持ちになるとね、
あなたは、必ず、
いちばん遠くから、私のところに、飛んできてくれること。


いちばん遠くに逝ってしまったはずなのに、
今日は、
いちばん近くにいてくれる日、
なんですね。

 

 

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花火大会

あなたへ


先日、花火大会がありました。


あなたとあの子と私。
最後に3人で観に行ったのは、4年前でしたね。


あの次の夏は、あなたが入院した夏。
そして、その次の夏と、次の夏は、あの子の武道の大会があり、
先日、あの子は、4年振りに、花火大会に出掛けました。


家に帰って来たあの子は、
友達との楽しかった様子を話してくれました。


あの日、私は、家でひとり、
遠くで聞こえる花火の音を聞きながら、
あなたと最後に観た花火大会の日を思い出していました。


あの頃のあの子は、小学6年生。
きっと、家族3人で観る花火はこれが最後かなって、話したこと、
覚えていますか。


来年には、中学生。
きっと、来年は、友達と行くから なんて、
断られてしまうだろうね。


そうしたら、2人で来ようねって。


あの子が成長し、
またあなたと2人で、出掛ける日が来ることも楽しみでした。


あの頃の私は、浴衣を着て、
あなたと2人、手を繋いで、
花火大会に出掛ける私たちを想像していました。


下駄で歩くことは慣れていないから、
きっと、あなたは、私の歩幅に、合わせてくれてね、
足、痛くない?って、
なんだか、いつもよりも、優しいあなたに、
私はまた、恋をするの。


あなたと、結婚出来て、良かったなって、
あなたの手の温もりを感じながら、
一緒に花火を観るんだろうなって。


あの頃の私は、
こんなふうに、あなたと離れてしまうだなんて、
思いもしませんでした。


また一緒に、花火を観に行きたかったですね。


ひとりは、やっぱり、
寂しいです。

 

 

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不思議の始まり

あなたへ


思い返せば、私に、不思議な出来事があったのは、あれが始まりでした。


あなたの容態が、急変したあの日から、しばらくの間、
私は、過呼吸に苦しみました。


あなたの検査手術のあったあの日、
院内であの子と待ちながら、
私は、翌日に控えたあなたの一時帰宅の事を考えていました。
一緒に、どんな1日を過ごそうかと、あなたが喜ぶ顔を、思い浮かべていました。


そんな中、突然、私たちは、呼び出されました。
先生が待つ部屋へ向かう時は、嫌な予感しかしなかった。


部屋に入ると案の定、
深刻そうな先生の顔に、私は、逃げ出したい気持ちでした。
何も聞きたくない
そんな気持ちで、先生の前に座りました。


手術中にあなたの容態が急変したこと、
親御さんが健在でしたら、すぐに連絡を取ってくださいと話がありました。


すぐに連絡を取ってください


その言葉が意味することに、私は、立ち上がる事が出来なかった。


やっとの思いで、あなたのお母さんに連絡を取ると、
指定された小さな待合室で、あの子と2人、
無言で、あなたを待ちました。


思いもしなかった展開に、
もしもの事があったらと、一番最悪な状況しか考えられなくなった私は、
頭の中が混乱し、呼吸が乱れ、
自分でも、何が起きているのか分からない状態の中、
誰か呼んでくるから
あの子の声が、遠くから聞こえました。


私がしっかりしなくてはいけない時に、
私までもが、運ばれてしまったあの日から、
しばらくの間、過呼吸に苦しむ事になりました。


あの日から、
どのくらいが経った頃だったでしょうか。


家にひとりでいた私は、
1年と半年程前に亡くなったあなたのお父さんへ、
あなたを助けてほしいと、お願いの気持ちで、
あなたのお父さんの事を考えていました。


すると、
ふと、私の頭の中に、
心配しないで待ってろ
そんな言葉が浮かびました。


不思議ですが、その時、私の気持ちが、急に軽くなった事、
よく覚えています。


あなたのことは不安で堪らないままなのに、
何故か、緊張だけが解れるような、不思議な感覚でした。


そして、あの日から、
私は、過呼吸で苦しむことがなくなりました。


それまで生きて来て、あんなふうに、
外から言葉が入ってくるような、
不思議な感覚は、初めてでした。


もしかしたら、余りにも辛すぎる状況に、
自分を守るために、
私が作り出したものだったのかも知れません。


何の確証もない不思議な言葉。
あの頃の私は、あの言葉を、お告げと呼びました。


あなたを見送り、
時々、あなたが側にいてくれると感じる不思議な出来事を思い返し、
やはり、あの日、
あなたのお父さんが、助けてくれたのではないかと考えました。


あなたの残された時間を変える事が出来ない代わりに、
私の苦しさを取り除いてくれたのだと。

 


そちら側で、お父さんには、逢えましたか?


助けてくれて、ありがとうございましたと、
伝えてくれたらと思います。