拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

アルバイト

あなたへ


あの子の夏休みが終わり、またいつもの生活が始まりました。


実は、あの子は、夏休みから、アルバイトを始めました。
これからは、学校、武道のお稽古、アルバイトと、
忙しくなるあの子ですが、とても張り切っています。


アルバイトを始めてから、1ヶ月と少しが経ち、
先日、初めてのお給料を頂きました。


通帳を眺めては、ひとりでに溢れてしまう笑顔。
あの日のあの子は、何度そうして、通帳を眺めていたでしょうか。


本当に嬉しそうだったあの子の顔、あなたにも見せたかった。


初めてのお給料日の気持ち、
ずっと忘れないでいてくれるといいですね。


あの子の満面の笑みを見ながら、
私は、あなたと過ごした時間の一コマを思い出していました。


あなたが、あの子くらいの年の頃に、
近所の飲食店で、
アルバイトをしていた頃の話をしてくれた事がありましたね。


俺が考えたメニューが、お店のメニューのひとつになったんだよ と。
とても、嬉しそうに。


あれは確か、結婚する前の私達の、
何気ない会話のひとつでした。

 


小さなことがきっかけで、
あなたとの何気ない時間を思い出し、胸が温かくなります。
今回は、あの子の満面の笑顔が、
私をその世界へと連れて行ってくれました。


働く事は、大変だけれど、楽しいね
いつもそう言いながら、あの子は、よく、アルバイト先での出来事を、
話して聞かせてくれます。


アルバイトを始めた事で、多くを学んだあの子は、
なんだか、また、大きく成長したように思います。


頑張っているあの子を見ていると、
私まで、勇気を貰える気がします。


私は、あの子を育てているようで、
実は、あの子に育てられているんだなと、改めて感じた今日この頃です。

 


こちらは、随分と涼しく、すっかり秋らしくなりました。
夏の音から、秋の音に変わり、
ちょっと、物悲しい気もしますが、
夏が終わると、暑さが苦手だったあなたの、ホッとした顔が浮かびます。

 

 

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来世

あなたへ


来世って言葉があるでしょ?
またいつか、生まれ変わるってこと。


思えば、あなたとは、そのことについて、
話したことがなかったような気がしますが、
あなたは、前世や来世について、
どんな考え方だったのかな。


私はね、
前世や来世って、あるんじゃないのかなって思っています。


だって、いつかあなたは言っていたでしょ?


ないと証明されていないことは、ないことにはならない って。


もしもね、
今を頑張って生きる事が出来たのなら、
もっと違う私として、生まれ変われる気がします。
今、経験した事は、記憶がなくても、
そこにも生かされるような気がするんだ。


上手くは言えないけれど、
来世と言うものがあるとして、
そこがどんなスタート地点であったとしても、
例えば、物事への視点とか、
例えば、独創力とか、
今、頑張って身に付けたものを持ったまま、
生まれることが出来るんじゃないか ってね。


そんな考え方は、変かな。


あのね、あなた。
たくさん、守ってくれてありがとう。
そして、そちら側へ送ってからも、
本当は、守ってくれていること、ありがとう。


きっと、まだまだ覚悟が足りなくて、
不器用な私だから、
時間は掛かるかも知れないけれど、
何でも出来る私になって、
もっと逞しい私になってさ、


この人生を全うして、
いつかまた生まれ変わって、
この小指に繋がれた運命の赤い糸を頼りに、
自信を持って、あなたを見つけられるような私になりたいと思っています。


次にあなたに逢う時には、もっと素敵な私でありたいなって。


だからさ、
あなたはそのままでいいよ。


短気で、
時々、我儘で、
時々、私よりも甘えん坊で、
時々、子供みたいなあなた。


全部そのままでいいよ。


全部、私が受け止めてあげるから。


だって、あなたは、強くて、優しくて、
時々、かわいい。


あなたの素敵なところ、たくさん知ってるから。


だから、
安心して、この胸に飛び込んでおいで
今度は、私が守ってあげるから。


奇跡だった毎日。
きっとまた、私が起こしてみせるから。

 

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3度目の夏

あなたへ


8月最終日の今日は、雨降りの1日でした。
あれから、3度目のこの夏は、
曇りや雨の日が多く、夏らしくない夏のまま、
気が付けば、随分と日が短くなりました。
このまま、秋を迎えるようです。


空を眺めては、あなたを想い、寂しい気持ちだったのは、
天気のせいでしょうか。


あなたの顔を思い浮かべては、胸が苦しくて、
あの子に見つからないように、
そっと涙を流した事もあったこの夏でしたが、
他のみんなと同じ分の時間を過ごしました。


あの子は、新たな自分の道を見つけることが出来ましたね。


私は、ずっと、出来ないと思っていたことが出来るようになり、
出来ないと思い込んでいただけなのかも知れないと学び、
一歩踏み出す勇気を持つことができました。


そして、寂しいの気持ちの中でも、ちゃんと、笑うことが出来ました。

 

あなたと過ごした日々は、奇跡だったのだと、
あの頃を振り返っては、そう考えてきましたが、
私があの子と生きる今も、毎日が奇跡なのだと思います。

あなたがいない時間を生きることは、
時々、寂しくて、
あなたが側にいてくれたらと、何度も考えてしまうけれど、
出来るだけ、前を向いて、
出来るだけ、たくさんのあの子の笑顔を覚えておこうと思います。


だって、
毎日、少しずつ成長しているあの子の顔は、
毎日、少しずつ、変わっているもの。


昨日とは、違う笑顔。
きっと、明日は、今日とは違う顔を見せてくれるんだろうなって。


日々の生活の中、
苦しい時も、辛い時も、
私の側には、たくさんの幸せのカケラが、
キラキラと輝いていて、
私は、素敵な奇跡の毎日を過ごしているんだと気が付いた、
あれから3度目の夏でした。