拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

始まりの音

あなたへ


朝、起きると、
あなたの目覚まし時計の音が鳴ります。


朝が苦手な私と違って、
小さな音の目覚まし時計で起きることが出来たあなた。


いつも、あなたが起きていた時間。


可愛い音で、ピピピッって鳴るあなたの目覚まし時計は、
アラーム設定を解除しないまま、
今も、あの頃のままの、優しい音を聞かせてくれます。


思わず、あなたに、
起きてって、声を掛けたくなってしまうこの音に、
始まりの音と名前を付けました。


1日の始まりには、
あの頃と変わらない音を聞いて、目を閉じると、
寝癖が付いた髪で、
寝ぼけた顔のあなたの、
おはようって、低く優しい声が聞こえるような気がします。


毎朝、決まった時間に聞こえるこの音は、
あなたが此処にいた証の音。

 

 

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今の私

あなたへ


電球の交換
インパクトドライバーを使えるようになったこと
カーナビの取り付け
名義変更
引越しの手続きを全部ひとりで出来たこと
電化製品を買うこと
粗大ゴミの処分


プリンターのインクを
間違えずに買えるようになったこと


いつかあなたが教えてくれた、
「雨が降る前には風が変わる」の意味が分かるようになったこと


逆立ち
前髪を上手に切れるようになったこと
ひとりで眠れるようになったこと


これは、この3年と8ヶ月を掛けて、私が出来るようになったこと。


あなたを見送り、初めて、
私は、何も出来ないのだと思い知らされました。


なんでも器用に熟してくれていたあなたに、
ずっと、守られていたんだなって。


あの子のことを守りながら、
生きていけるのだろうかと不安でいっぱいなのは、
今も変わらないけれど、
あなたを見送り、
ひとつずつ、あなたがやってくれていたことに挑戦しながら、
思えば、
今の私は、あの頃よりも、色々なことが出来るようになりました。


あの頃より、ほんの少しだけ、強くなれた気がして、
今の私ならね、
時には、逞しく、
あなたのことを守ってあげることができたのかも知れません。


今の私なら、
あなたは、もっと頼ってくれたのかな。


もしも今、あなたに逢えたとしたら、
あなたは、どんな顔を見せてくれるのでしょうか。


あなたに、逢いたい。

 

 

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運命の人

あなたへ


インターネット検索をしていたら、
偶然、前世の恋人占いというものを見つけました。
それは、前世の恋人は、どんな人だったのかを生年月日から占うというものでした。


なんとなく占ってみたらね、


前世のあなたも男性。
前世のあなたは、一目惚れした女性に、
長い間、片思いをしていましたが、
ある日、思いきって彼女にプロポーズ。
そして、ふたりはゴールインしたそうです。


私は、前世も女性。
前世の恋人は真面目で、思いやりのある男性。
ふたりは大恋愛の末、結婚。
生涯ずっと愛し合い、
来世も一緒になろうと誓い合ったそうです。


ほらね?
やっぱり私たちは、やっぱり運命で、結ばれていたんだね。


なんて、こんなこと言ったら、
やっぱり、あなたに笑われてしまうのでしょうか。


占いでしょ?って。


でも、それでもいいよ。
きっとね、私が前世で結ばれた相手はあなたで、
来世も一緒になろうと誓い合ったって信じているから。


私がこの人生を全うし、
またいつか、生まれ変わったとしたのなら、
またあなたと出会って、
その瞬間に感じるのだと思います。


この人だ って。


そして、その時の私も、きっと、同じことを言うのでしょう。
私たちは、きっと、運命の出会いだったよねって。


その時は、笑わないで、頷いてくれますか?
運命だねって。