拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたの想い

あなたへ


私が泣いている時、
あなたも、何処かで悲しんでいるのでしょうか。


あれは、間も無く、
4回目のあなたの命日を迎えようとしている頃のことでした。


あの頃の私は、
あなたを想いながら、今にも涙が溢れそうなのに、
何故だか、涙が溢れることはありませんでした。


泣きたいのに
何故か泣けない


それは、何か特別な力が、私の涙を止めているような、
とても不思議な感覚でした。


そんな感覚が暫く続いた、ある夜。
ベランダでひとり、あなたを想いながら、
泣きたい気持ちで星を眺めていた時のことでした。


きっと、特別な力に勝ったのであろう一粒の涙が溢れた瞬間に、


俺のことで
もう泣かせたくない


そんな言葉のような、
強い想いに包まれたことがハッキリと分かりました。


それは、きっと、あなたの言葉に違いないと、
あの夜、私は、
それまでに溜めていた涙を一気に流すかのように、
号泣したのでした。


特別な力があるわけでもないのに、
あなたを見送ってからの私は、
本当に辛い時や悲しい時、
不思議なものに、優しく包まれるような感覚があります。


何の証拠もないまま、
それはきっと、あなたの想いに違いないと、感じてしまうのです。


この、とても不思議な出来事に、
いつかあなたが言っていた言葉を借りるなら、


ないと証明されていないことは
ないことにはならない


そういうことなのかも知れないと、思ってしまうのです。


あの夜、
ベランダで、ひとり、
号泣した日のことを思い出しては、ずっと考えていました。


あの日、私が包まれたあの強い想いが、あなたの言葉だとしたのなら、
私は、あなたになんて伝えるべきなのか。


ごめんなさい。


ずっと、考えていたけれど、
きっとこの先も、
私は、時々、泣きながら生きて行くのだと思います。


あなたと一緒に見ることが出来なかった素敵な景色を眺めながら、
一緒に見たかったねって。


あなたのその手の温もりに、
もう一度だけ、触れてみたいと、記憶を辿っては、
絶対に忘れないと誓った、
最後に握ったあなたのその手の温かさを思い出しながら、
きっと、
何度も泣いてしまうのだと思います。


もしも、何処かで、
泣いている私を見つけたあなたを、辛い気持ちにさせてしまっているのなら、
どうか、私を信じてください。


いつかのあなたが、
俺を信じろ
そう言ってくれていたように。


私は、どんなに泣いても、
そこで永遠に立ち止まったりはしないから。


涙を拭いて立ち上がった先には、
必ず素敵なものを見つけてみせるから。


だから、心配しないで。
私は、大丈夫。

  

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夏休みの思い出

あなたへ


あの子の夏休みが終わり、またいつもの生活が始まりました。


この夏休み、
あの子は、本当によく遊び、アルバイトも頑張りました。


夏休みの始まりには、勉強も頑張る、なんて宣言していたあの子ですが、
毎年の如く、
お盆が過ぎ、夏休みが残り僅かとなった頃に、
焦りながら、大量の宿題と向き合いました。


俺、去年の夏休みも、こんなふうに焦って宿題してたよね
進歩ないな


遅い時間まで、宿題と向き合いながら、
また今年も、後悔の念を口にしたあの子は、更に言いました。


俺が父親になったら、

絶対、自分の子供に、夏休みの宿題は、最初に終わらせてから遊びなさいって教えるよ と。


数十年先には、あの子も、自分の子供から、
同じ言葉を聞く日が来るのかも知れませんね。


思えば、夏休みの宿題を、先に終わらせたことがなかった私。


分かっていながらも、
自分では、実行が出来ないまま、
夏休みの宿題は、早く済ませるようにと我が子に言い聞かせること


それは、きっと、我が家の伝統行事のように、
代々、受け継がれていくのでしょう。


私の顔を見る度に、宿題が終わらないと口にしていたあの子ですが、
なんとか無事に終わらせ、新学期を迎えることが出来ました。

 


普段は会うことの出来ない友達との再会
儚く散った恋の話


人の優しさに触れたこと
たくさん、笑ったこと


今年の夏休みも、
あの子は、色々な話を聞かせてくれました。


大人になっても、
きっと忘れることの出来ない、
素敵な夏の思い出が、たくさん出来たようです。

 

 

 

あなたの居場所

あなたへ


先日、あの子と、お互いに、
お盆期間中に見たあなたの夢の話をしました。


私が見たあなたの夢は、あなたが、帰って来てくれた夢でした。
あの子と3人、家の中で過ごしながら、
あなたをギュッと、抱きしめる夢でした。


あなたの温かさや筋肉の感触。
あの頃のままのあなたが、側にいる夢でした。


あの子が見た夢の内容は、ハッキリとは覚えていないようですが、
近頃、真剣に悩んでいる将来について、
あなたと話をしたということだけは、覚えているようでした。


夜中に、3度も目が覚め、
その都度、寝ぼけながらも、
自分はこのままでいいのかと、真剣に考える程に、
あなたの話は、核心をついていたようです。


お互いに見た夢の話をすると、あの子が言いました。


お父さんは、今、俺が悩んでいることを知っているんだと思う。
漠然と、このままでいいのかなって思っている俺の不安な気持ちを分かっている気がする。


何を言われたのかは覚えていないけれど、
このままじゃいけないって思うようなことを言われた気がする。
今のままじゃダメだって叱られた気がするよ と。


そうして、あの子の話は、続きました。


お父さんは、いるんだよ。
お父さんの体は、ここにはないけれど、
お父さんは、本当にいるんだと思う。


亡くなった人は、生きている人の心の中に住んでいるって、
そんな話を聞いたことがあるけれど、あれは、きっと本当だと思うよ。
本当にお父さんは、俺たちの中に住んでいるんだよ。


あなたの存在について、
少しずつ、熱を上げながら語り出したあの子。


例えが悪くて申し訳ないけれど、
サナダムシって、外から中に入ってくるでしょ?
体の中にいつの間にかいて、いつも一緒にいるみたいな。


これは、俺の考え方だけど、
お父さんは、俺の中にも、お母さんの中にもいるって思ったんだ。
お父さんは、ずっと一緒にいてくれるんだと思う。


あなたの存在について、熱く語りながら、
私に分かりやすいように、
あなたを、よりにもよって、
サナダムシに例えながら、自分の考えを説明してくれたあの子。


あの子が言うように、あの子の中にあなたがいたのなら、
あなたは、あの子の中で苦笑いしていたのでしょうか。
なんでサナダムシ? って。


今、あなたの姿は、私たちの瞳には、映りません。


時々、あなたが側にいるように感じることも、
あなたが、そっと側に寄り添ってくれる気配もあるけれど、
なんの証拠もないあなたの存在。


あの子は、あなたが、個々の中にいるという考え。


そして、私は、
あなたは、何処か別な場所にいて、
時々、遠くから飛んできてくれるという考え。


どちらも正解だけれど、
どちらも少しずつ違う


そんなような気もします。


あなただけが知っている答え。


答え合わせをするのは、随分と先になる予定ですが、
その時には、
想像もしていなかったような答えに、驚くのかも知れませんね。

 

 

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