拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

なんでもない日のプレゼント

あなたへ

 

今日は、あなたにプレゼントがあるの。

ずっと、気になっていたもの。

あなたなら、きっと喜んでくれるかなって思って、

買っちゃった。

 

もしも、今、そちら側のあなたと話が出来るとしたなら、

どんな言葉を返してくれるのだろう。

 

あなたの場所に備えた3種類のお線香。

 

キャンディの香り

ミルクの香り

スイカの香り

 

え?スイカ?

 

なんて、あなたは、笑うのかな。

 

もうすぐ夏だから、

ひとつはスイカの香りを選んでみたの。

これは、夏になってからのお楽しみだよ。

 

さっそく、キャンディの香りのお線香を焚いて、

手を合わせた私が、思い出していたのは、

あなたからのたくさんのプレゼント。

 

これ、好きかなと思って

 

こういうの好みでしょ?

 

偶然、みつけたんだ

 

それはいつでも、突然の、

誕生日でも、クリスマスでもない、

なんでもない日の、あなたからのプレゼント。

 

例えば、小さな置物や雑貨、文房具や、キーホルダー。

私の好みのものを見つけたからと、

いつでも嬉しそうに、プレゼントを渡してくれましたね。

 

そんな時の私はね、

あなたの中の片隅には、いつでも私がいるのかな なんて、

ちょっぴり、ニヤけちゃって、

なんだか恥ずかしくて、俯きながら、とても嬉しかった。

 

私と離れている時間に、

私のことを考えてくれていたんだなって、

そんなあなたの気持ちが見えるあの瞬間は、

私にとって、とても、幸せな時間でした。

 

インターネットでみつけた、あなたへのプレゼントは、

ワクワクとしながら、到着を待っていました。

 

お線香を上げて、手を合わせる時間は、

あなたとお話をする時間。

 

そちら側のあなたと、楽しい話がしたい。

 

甘い香りに包まれながら、あなたとする話は、

どんな話になるのだろうって。

 

ほんのり甘い香りは、ちょっぴり胸がキュンってしちゃう、

あの頃のあなたに逢わせてくれました。

 

あの頃のことを思い出しながら、

思わずひとりで、ニヤけてしまった私の顔は、

どうか、あなたに見られていませんように。

 

 

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喧嘩をした記憶

あなたへ

 

曇り雲を眺めながら、

浮かない気持ちで、小さなため息を吐いたのは、

今更の、たくさんのごめんねを

もう、生きているあなたに伝えることが出来ないのだと、

そんな気持ちになったからでした。

 

何故だか、あなたと喧嘩をしたことを思い出していた今日の私は、

とてもナーバスでした。

 

あの時、こう言えば良かった

あの時、こうすれば良かった

 

そんな気持ちは、苦しくなる度に膨らんで、

ただ、泣きそうな気持ちで、空を眺めました。

 

あなたの側にいたのは、本当に私で良かったのかな って。

 

あなたを見送ってからの私は、

喧嘩の数だけ、仲直りが出来たことに、

ただ、良かったって、そんなふうに考えていたけれど、

本当はね、

どうすることも出来ない気持ちに固く蓋をして、

心の奥へと、押し込んでいたのだと思います。

 

私は、どれだけあなたを傷付けてしまったのだろう

 

一度開いてしまった蓋の閉じ方が分からないままに、

ただ、泣き出しそうな気持ちで空を見上げた私の中に浮かんだのは、

あなたの言葉でした。

 

喧嘩が出来ない相手とは、無理

俺は一緒にいられない

 

その言葉は、空を見上げる私の元に、

空の彼方から降ってきたかのようにも感じた、いつかのあなたの言葉。

 

あの頃のあなたの言葉をひとつ思い出せば、

次から次へと私の心の中の引き出しが開き、

あなたの言葉たちが飛び出しました。

 

お前は、喧嘩をしないと、本音を言わない

 

なんでいつも我慢するの?

 

俺は、お前の本当の気持ちが知りたい

 

たくさん喧嘩をしたけれど、

いつかのあなたのそんな言葉があったから、

これまでの私は、無意識に、どうすることも出来ない気持ちにだけ、

蓋をすることが出来ていたのかも知れません。

 

そうして、

引き出しの中から最後に飛び出したのは、

俺から離れないでって、

病床時に、私の手を握りながら、あなたが言った言葉でした。

 

あの日のあなたの真剣な眼差しと、

その手の温もりを最後に、

それ以上の言葉が飛び出すことはなく、

私の中には、

あの頃のあなたの気持ちだけが残りました。

 

ごめんね

 

私はきっと、そんな気持ちを抱えたまま、

これから先、ずっと生きていくのだろう。

 

それはきっと、あなたを傷つけた罰なのだと考えた私に、

それは違うとでも言いたげに、

また、あの頃のあなたの言葉たちが、今の私を、救ってくれました。

 

ねぇ、あなた。

私は、あなたにとって、いい妻だったかな。

 

今でも、私のこと、愛してる?

 

 

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新しい料理

あなたへ

 

あの子が高校に上がり、少しずつ、上達を感じた料理は、

相変わらず、苦手分野ではありますが、

最近の私は、また色々な新しい料理に挑戦しています。

 

職場の先輩に教わった料理や、自分で調べた料理。

今のところ、失敗もなく、順調に、新しい料理を開拓中です。

 

あまりお腹が空いていないから、晩ご飯はいいかな

 

昨夜のあの子は、

少しだけ、おかずをつまむだけのはずでしたが、

 

やっぱり米も食べたい

これ、凄く美味しいよ

 

なんて、

お腹が空いていないはずのあの子が、

たくさん、食べてくれました。

 

そんなあの子を、

なんだか、とても嬉しい気持ちで、眺めながら、

先輩方からの言葉を、改めて思い出していました。

 

子供が高校生になってね、

毎日お弁当を作るようになると、

色々な料理を覚えるようになるものよ

だんだん上手になるから、大丈夫よ と。

 

あなたを見送ってからの私は、

少しずつ、料理のレパートリーを広げてきましたが、

新しく挑戦した料理が美味しく出来るとね、

想うのは、いつでも、あなたのこと。

 

あなたにも食べさせたかったなって、

ほんの少しだけ、胸の奥が痛くなります。

 

だって、どんな顔で喜んでくれるのか、

どんな顔で、私が作った料理を食べてくれるのか、

あなたの顔が、見える気がするもの。

 

きっとね、

あなたも、あの子みたいに、たくさんおかわりをしてくれて、

たくさん作ったはずの料理は、

すぐになくなってしまうの。

 

そうして、

今日は、食べ過ぎたな って、

お腹をポンポン叩きながら、満足そうに食後のコーヒーを待つの。

 

そう。

昨夜のあの子と、同じように。

 

あなたとあの子がふたり揃って、満足そうな顔をして、

食後に淹れるコーヒーを待ってくれている感じは、

どんな幸せな気持ちがするのだろう。

 

もう少しだけ、側にいてくれたら。

もう少しだけ・・・

 

こんな時にね、考えてしまうのです。

 

もう少しだけ、長く、

あなたが此処にいてくれたら良かったのになって。

 

 

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