拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

缶コーヒー

あなたへ

 

あの缶コーヒー、久しぶりに飲みたいな

買って来てよ

 

あなたは、そんなふうに、

私に話し掛けてくれていたのでしょうか。

 

早速、あなたの場所へと、缶コーヒーをお供えしながら、

あの頃のあなたのことを思い出していました。

 

庭の草取りを担当してくれていたあなたを中心に、

あの子と私も、お手伝い。

 

そんなふうに、

あの庭で過ごした時間は、どれだけあったでしょうか。

 

ジュースタイムにする?

 

草取りの日には決まって、

あなたのそんな声から、休憩タイムが始まったのでした。

 

家から徒歩10秒。

 

あなたの声を合図に、3人揃って、

自宅近くの自販機まで、飲み物を買いに行きましたっけ。

 

その時に、あなたが決まって選んでいたのは、

甘い缶コーヒー。

 

普段は、私が淹れたコーヒーが一番だと、

市販のものは、あまり飲まなかったあなたでしたが、

草取りの日には、決まって、

あのお気に入りの缶コーヒーを飲んでいましたね。

 

あなたと過ごした最後のジュースタイムは、

あの年の、春の頃だったでしょうか。

 

あなたの月命日や、お盆。

 

大切な日には、必ず、

あなたが好きだったものをお供えしている私ですが、

何故だか、

あなたのお気に入りだった甘い缶コーヒーを思い出すことは、

これまでに、一度もありませんでした。

 

私のお気に入りの缶コーヒーでもあったはずなのに、

あなたを見送り、

まるで、初めからなかったかのように、

私の中から、消えてしまっていたのでした。

 

突然に、私の中に浮かんだ、あなたが好きだった缶コーヒーは、

なんだか、あなたが思い出させてくれたように感じました。

 

ねぇ、あの缶コーヒー買って来てよ って。

 

今日のあなたの場所には、

私が淹れたコーヒーと、

あなたからのリクエストの缶コーヒーが並びました。

 

コーヒーばかりでいいの?

 

そんなふうに問いかければ、

あなたは、きっと、笑って頷いてくれるのでしょう。

 

こちらでは、随分と日が短くなり、

少しずつ、冬の訪れを感じられるようになりましたが、

今日の私は、目を閉じて、

あなたとあの子と、家族3人で、

近所の自販機へと飲み物を買いに行った、

初夏を思わせる、あの頃の季節を思い出していました。

 

 

 

 

 

 

1ページ目はこちらより↓

拝啓、空の彼方のあなたへ - 拝啓、空の彼方のあなたへ

もしもの世界をみつけることが出来なかった私たち

あなたへ

 

俺ね、今の自分、好きなんだ

 

あの子がそう話してくれたのは、

あの子の将来の夢について話し合っていた時のことでした。

 

今の自分がいるのは、

お父さんが此処にいないからなのだと、

あの子のそんな話に、

辛く、悲しく思いながらも、

私は、惹きつけられるように、耳を傾けました。

 

もしも、お父さんが生きていたらね

今の自分は、此処にいなかったって思うんだよね

いや、確実にいないよ

多分、色々なことを真剣に考える機会がないままに、

この年齢になっていたと思うんだ

もちろん、

お父さんがいなくて良かったなんて、少しも思わないよ

お父さんがいてくれたらって、何度、そう思ったか分からない

でも、お父さんがいる今の俺は、

もっと、全然違う俺だったと思う

その自分を、俺は、自信を持って、好きになれていたのかな

想像もつかないけれど、

俺は、今の俺で良かったなって思うんだ

 

あの子の話は、とても悲しいのに、前向きで、

私の胸の奥を、ギュッと掴みました。

 

もしもあなたが此処にいてくれたら。

 

口に出さなくとも、あの子だって、

きっと、何度も考えたことだったでしょう。

 

あの子は、格好いいあなたのことが、大好きだったもの。

 

でも、

もしもの世界は、此処にはありません。

 

あの子はあの子のやり方で、

その悲しみに向き合い、

そうして、今の自分と出会うことが出来たのだと思います。

 

あの子の言葉に、胸が苦しくなるけれど、

でも、今のあの子に、

自分を好きだと思わせてくれたのは、

あの日、手を離さなければならなかったあなただと思うのです。

 

あの子の話は、たくさんのことを考えさせられました。

 

あなたがしてくれていたことを、

ひとつずつ出来る様になった今の自分も、

歩んでみたいと思う道を見つけた今の自分も、

私もまた、嫌いではないのです。

 

私は、今の自分を好きかと聞かれたら、

まだまだ足りないものが多過ぎて、

あの子みたいに、自信を持って頷くことは、まだ出来ません。

 

それでも、いつか必ず、

胸を張って、

今の自分が好きだと、あなたに報告出来るようになりたい。

 

こんな今の私がいるのもまた、あなたのお陰です。

 

私たちは、もしもの世界を見つけることが出来なかった変わりに、

今の自分を見つけました。

 

生きるって、

時に、とても矛盾していて、悲しくて、

苦しいものなんだね。

 

私と出会ってくれたあなたへ、

あの子に生をくれたあなたへ、

私たちは、いつでも、

あなたへのたくさんのありがとうの気持ちを持ち続けながら、

ここから先も歩み続けていくのでしょう。

 

 

 

心と心

あなたへ

 

あれから、1ヶ月と少しが経ちました。

 

夢の中、

あなたがプロポーズをしてくれた時のことを思い出していました。

 

寂しがり屋な私ですが、

あの日からの私の心は、ずっと満たされたまま、

あなたからの愛が溢れています。

 

あなたに逢いたいことに変わりはないけれど、

今の私のこの気持ちは、

あなたの側にいたあの頃と、

なんだかよく似ている気がするのです。

 

今の私たちは、きっと、

心と心が、しっかりと結ばれているんだね。

 

あの夢の中で、あなたは、

私たちの心を結び直してくれたのだと、

そんなふうに思っています。

 

あなたは、何度でも恋をさせてくれる人。

 

何処にいるかなんて関係なく、

一瞬で、私の心を虜にする人なの。

 

またいつか、

手が届くことのない、あなたと私のこの距離に、

不安になる日があるかも知れないけれど、

今の私は、あまり心配はしてないません。

 

もしも、いつかまた、

不安な気持ちになってしまったら、

その時のあなたは、

今度はどんなやり方で、その愛を伝えてくれるのだろうなんて、

そんな期待をしてしまうのです。

 

だって、

あなたはきっと、私の心を離すことなく、

ずっと、結び続けてくれるような気がするから。

 

ねぇ、あなた

今度はどんなふうに、その愛を伝えてくれるの?

 

なんて言ったら、

あなたは、どんな顔をするか、知ってるよ。

 

はぁ?

なんて言いながらね、

ちょっと困ったように、でも、とても嬉しそうに笑うの。

 

ねぇ、当たったでしょ?

 

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