拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

菖蒲湯

あなたへ

 

あれ?今日は、菖蒲湯に入る日らしいよ

 

間も無くお風呂へ入る時間になってから、

インターネットで見つけた写真を眺めながら、

こどもの日には、菖蒲湯に入るのだということに気が付いたのは、昨夜の私。

 

ごめんね

お母さん、こういう風習には、あまり詳しくないから、

教えてあげていないことが、きっと、たくさんあると思う

 

あの子に、こんな話をしながら、

こどもの日には、菖蒲湯に入る風習があることを教えました。

インターネットの写真を見せながら、

こんな葉っぱを入れたお風呂に入るんだよって。

 

これはね、邪気を祓うためのものなんだって

 

更に説明をした私に、あの子は言いました。

 

俺には、邪気なんてないから大丈夫

課題だけ追い払ってくれれば良いよ なんて。

 

確かに。

前を向いて懸命に歩む今のあの子には、邪気など、ないのかも知れません。

そして、外から忍び寄ろうとする災いを追い払える力さえも、

今のあの子には、備わっているのかも知れません。

 

この連休中には、課題に向き合うあの子の姿が多く見られましたが、

全く終わらないと嘆いていたのは、昨日のあの子。

 

2年生になり、少しずつ難しく、

そして、量も多くなってきた課題に、試行錯誤している様子です。

 

私には、課題を追い払ってあげることは出来ませんが、

来年には、忘れずに、邪気を払ってあげられるよう、

しっかりと、手帳へ認めました。

 

思い返してみれば、

私が幼い頃に、何度か、菖蒲湯に入った記憶がありましたが、

それが、こどもの日と、全く結び付けられていなかったのは、

幼い頃の記憶故なのかも知れません。

 

あの子が生まれてから、一度も、

菖蒲湯の話など、出たことがなかった我が家。

 

今頃のあなたも、そちら側で、

そう言えば、こどもの日には、菖蒲湯に入っていたかも知れないな

なんて、私と同じように、

幼い頃の記憶を辿っているのでしょうか。

 

あの子が巣立つ前に、知ることが出来て、良かった。

あの子が、いつかお父さんになった時に、

我が子に、この風習を教えてあげることが出来るよう、

来年は、しっかりと、教えてあげたいと思います。

 

私にとっては、幼い頃の遠い記憶でしたが、

大きくなったあの子なら、

しっかりと、覚えていてくれるのかも知れませんね。

 

 

 

 

ゴールデンウィーク -2021-

あなたへ

 

今日は、ゴールデンウィークの最終日です。

今年の私たちも、

ほぼ、家の中で、静かな連休を過ごしました。

 

進学先へ、なかなか入学することが出来ずに、

不安そうな顔をしていたのは、昨年のあの子。

 

昨年のゴールデンウィークには、

あの子をたくさん笑顔をすることを目標に、

お休みを過ごしたことを思い出していました。

 

今年も、あの子と家の中で過ごす時間がたくさんありましたが、

昨年の不安そうだったあの子は、もう、此処にはいません。

 

この連休中のあの子は、

何やら、バイクのパーツの色を変えてみたり、

課題に向き合ったりと、

やりたいことと、やらなければならないことに向き合いながら、

家での時間を楽しんでいるようでした。

 

そんなあの子を横目に見ながら、私は、私のやりたいことを。

今年の私たちは、それぞれに、

お互いに好きなことをしてお休みを過ごしました。

 

私たちは、いつの間にか、

家の中で過ごすことに、慣れてきたのかも知れません。

家で過ごすことが主ではありましたが、

有意義に、楽しいお休みを過ごすことが出来ました。

 

家の中で、静かな時間を過ごしていると、

なんだか、とても平和に感じてしまいますが、

ニュースを見れば、コロナウイルスの感染者数に、

恐ろしさは増すばかりです。

 

来年の今頃の私たちは、

どんな景色を見て、連休を過ごしているのでしょうか。

 

どうか、来年には、

私たちが思い描く未来であってほしいと願いながら、

気を引き締めて、明日からの生活を過ごしたいと思います。

 

 

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バイクのチェーンの交換の仕方

あなたへ

 

車の免許を取り、

一度は車に置かれたウエイトですが、

近頃のあの子には、再び、バイクブームが到来したようです。

 

少し、友達と走ってくるね

 

以前のように、こんな声が聞こえるようになりました。

 

皆と合流し、バイクで走ったら帰ってくる。

人との距離も充分にとれるこの遊び方は、

この時代に合った遊び方なのかも知れません。

 

どんなに疲れていても、

ヘルメットをピカピカに磨くことだけは、怠らず、

様々な角度からヘルメットを眺める様子も、

よく見かけるようになりました。

 

お父さんって、凄いよね

 

あの子のバイクのチェーンを交換しなければならないという話から、

私たちは、あの頃のあなたのことを思い出していました。

 

あれは、いつのことだったでしょうか。

 

丁度、夕飯の支度に取り掛かっていたところに、

掛かってきたのは、あなたからの電話でした。

 

バイクのチェーンが切れちゃった

変えのチェーンがあるはずだから、

悪いけれど、持って来てくれる?

 

あの頃、バイクでの通勤をしていたあなた。

 

帰宅途中で、バイクのチェーンが切れて、走れなくなってしまったと連絡を貰い、

あの子と一緒に、あなたの元へと急いだのでした。

 

路肩にバイクを停めて、私たちを待っていたあなたを見つけた時に、

何故だか、とても安堵したこと、今でも良く覚えています。

 

あの日は少し肌寒かった日。

 

私が持って行ったチェーンを確認すると、

近くにあった自販機で、スープを買ってくれたあなた。

 

車のライトがあれば取り付けは出来るから、

乗ってていいよ

 

そう言って、私たちを車に乗せると、

あなたは、黙々と作業に取り掛り、

すぐにチェーンの交換が終わったのでした。

 

これは、あの頃の私たちの日常の一コマ。

 

お父さんって凄いよね

なんでも出来るよね

 

あの日のことをよく覚えていたあの子は、

そう言って、あの日のことを振り返ると、寂しそうに、呟きました。

 

お父さんがいてくれたら、

チェーンの交換の仕方、教えて貰えたのになって。

 

あの子は、バイクのチェーンの交換の仕方を知りません。

 

バイクを買ってからのこれまで、様々なパーツを、自分で変えてきたあの子。

 

全て、1から自分で学び、今の形へと変えてきたように、

あの子はこれから、チェーンの交換の仕方も、自分で学んでいくのでしょう。

 

あの子が成長するほどに、私には、

教えてあげることの出来ないことが増えてきました。

 

私には、見守ることしか出来ないけれど、

あの子が、あなたを想いながら、どんなふうに成長していくのか、

本当は、あの子が、あなたからどんなことを教わりたかったのか、

私が全部、覚えておくよ。

 

これもきっと、あなたの分まで、

あの子の成長を見守るってことだから。

 

 

 

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