拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

探検

あなたへ 先日、何故か、急に思い立って、 歩いて近所のスーパーへ買い物に出掛けた私は、 帰り道に、これまで通ったことのない、 スーパーのすぐ横にある、細い道へと進みました。 それは、 近道が見つかるかも知れないという好奇心からでした。 初めて通っ…

あの子の策略

あなたへ あの子の携帯電話の調子が悪くなったのは、 年が明けてからのことでした。 突然に、通話が出来なくなってしまったあの子の携帯電話。 試行錯誤しながら、 一度電源を落とせば、少しの間だけ、通話が出来るようになることを確認しました。 早めにメ…

この世界の美しさ

あなたへ 厳しい寒さを通り過ぎて、 こちらでは、すっかり暖かくなりました。 満開に咲いていた桜の花が少しずつ、緑色へと変わる姿に、 季節の始まりを感じます。 日々の生活の中、よく周りを見渡してみれば、 ピンクや赤、黄色、白と、色とりどりの景色へ…

反抗期を振り返るあの子

あなたへ 先日の朝のことでした。 俺ってさぁ、 反抗期の時、お母さんに随分と酷いことしたよね 寝起きから、突然、そんなことを言い出したあの子。 聞けば、前日の夜、眠る前に、 突然、中学生の頃のことを思い出したようでした。 あれは、あの子が中学3年…

コトバ -春- 2019

春の風を 覚えていますか 春の色を 覚えていますか 春の匂いを 覚えていますか その髪を揺らす 爽やかな空気を その瞳に映る 鮮やかさを 鼻を擽る 甘い香りを 覚えていますか 一緒に過ごした二番目の春 初めて訪れた土地 一緒に見た初めての景色 あの日の空…

乗り移る

あなたへ 乗り移るってあると思う? 霊と呼ばれる存在が、誰かに乗り移って、 例えば、話をしたり、 何かをするとか、 そんなことってあるのかな 先日のあの子の言葉に、 きっと、あると思うよ 私は、即答しながら、あなたを見送ってから度々起こった、 不思…

春の小さな思い出

あなたへ こちらでは、桜が満開に開き、 風が吹くと、ヒラヒラと、花びらが舞う時期になりました。 通勤途中の信号待ちの時間。 満開の桜を眺めながら、 ふと、幼かった頃のあの子のことを思い出しました。 あれは、あの子が幼稚園へ入園し、間も無くの頃の…

移りゆく景色が思い出させてくれたこと

あなたへ あなたと一緒に何度も行った、大型のスーパーの向かい側。 広い畑が広がっていて、敷地の奥にはビニールハウスがあったあの場所に、 新しく、別な系列の大型スーパーが建ちました。 この辺りで育った私にとって、あの畑の辺りは、 幼い頃からの記憶…

ジョニー

あなたへ 幼い頃は、寝起きが良かったあの子。 あの子を朝起こすのに、苦労をすることは、 きっと、これから先もないのだろう、なんて考えていたあの頃の私は、 今、思えば、とても浅はかでした。 高校生活にも慣れ、 夜更かしをすることが多くなったあの子…

桜の木が並んだ土手の上

あなたへ 車で通り掛かることはあるけれど、 これまで、一度も歩いたことがなかった、 桜の木が並んだ、川沿いの土手の上。 春になるとピンク色に染まるあの道は、 いつかあなたと一緒に歩いてみたかった場所でした。 先日、あの場所を通り掛かったあの子か…

あなたにも食べさせたかったもの

あなたへ 先日、あなたの家族と一緒に、蕎麦を食べに行きました。 あなたの実家のすぐ側に出来た蕎麦屋さん。 店主は、あなたのお母さんの同級生なんだそうです。 このお店はね、天ぷらも、とても美味しいんだよ そんな話を聞きながら、皆で、 天ぷらの盛り…

そういうことにしておこう

あなたへ 今年のこちらでは、花粉の飛ぶ量が多く、 私の周りでは、花粉症の方が多く見られます。 え?花粉症じゃないの? いいなぁ 時々、そんな言葉を掛けられますが、 私は、これまでに、一度も花粉症の症状が出たことがないわけではありません。 花粉症の…

新元号

あなたへ こちらでは、もうすぐ元号が変わります。 昨日、新しい元号が発表になりました。 来月からは、令和(れいわ)という新元号に変わるそうです。 人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ。 という意味が込められているとのこと。 なんだか、…

3月32日 ~奇跡~

www.emiblog8.com あなたへ ねぇ、あなた。 もしも1日だけ、奇跡を起こせるとしたら、 私たちは、どんな時間を過ごすのだろう。 あなたは、 どんな1日を過ごしたい? 目を閉じて、想像してみて。 今、あなたの目の前に、何が見えますか。 //

3月32日 ~4月1日~

目覚ましの音で目が覚めた。 ここは、2年2ヶ月前に、引っ越してきたアパートの私の部屋だ。 いつも通り、無意識に窓に目をやり、まだ光が差す前であることを確認して、体を起こす。 思えば、随分、暖かくなり、布団から出るのがスムーズになった。 携帯電話…

3月32日 ~眠りに就く~

彼に促されながら、それぞれに寝る支度を整えた。 「今日は、3人で寝ようか。」 彼からの提案に、3人揃って寝室へ移動し、あの子と私は、早々に布団に入った。 3組が並んだ布団は、 あの子と私が、寝支度を整えている間に、彼が敷いてくれた。 彼の布団を真…

3月32日 ~幸せの種~

食事を終えると、彼は、今日買ってきたプランターをテーブルの上に置いた。 3人で、種を植えようと言う。 彼がポケットから取り出した種は、見たこともない不思議な種だった。 大きさは、Lサイズのたまごより、ひと回りかふた回り大きく、雫型をしている。 …

3月32月 ~いつも通りの我が家~

いつものスーパー。 棚の陰から、彼とあの子が、私の様子を伺っている視線を感じる。 これは、彼らの『お菓子買って作戦』だ。 素知らぬ顔で買い物を続けていると、ササッと2人が近づいて来て、カゴにそれぞれのお菓子を入れた。 「これもお願いしまーす。」…

3月32日 ~菜の花が咲く公園~

ここへ3人で来るのは、何年振りだろうか。 いつか、彼とあの子が転がって遊んだ芝の坂の上に3人並んで座ると、ジュースを飲みながら、少し、休憩することにした。 最後に3人でここへ来た時、彼もあの子も芝だらけになりながら、この坂を転がっては、笑ってい…

3月32日 ~散歩~

ここは、この辺りでも、比較的大きな公園。 いくつかの公園が集まっていて、道路に出ることなく、公園から公園へと、歩いて移動出来るようになっている。 「あーぁ、サッカーボール、持って来れば良かった。」 広い芝生が広がる園内。 たくさんの親子が、サ…

3月32日 ~小さな頃と変わらないところ~

今日は、特別な日曜日。 ファミレスもラーメン店も、少しお洒落なイタリアンのお店も、覗いてみた近隣の店は、とにかく、どこもかしこも、とても混んでいた。 相変わらず、腹が減ったと騒ぐあの子に、釣られるように、彼も私もお腹が空いてきた。 彼は、並ぶ…

3月32日 ~展望台~

「そうだ。展望台登ってみない?近くに住んでると意外と行かないよね。」 買い物を終え、車に乗り込むと、彼は唐突にそんなことを言い出した。 ホームセンターのすぐ近くにある25階建の建物の最上階は、展望台になっている。 これまでに一度も、登ってみよう…

3月32日 ~ホームセンター~

家から、少し離れた場所にあるその店は、 近所のホームセンターよりも、安く買えるものが多い。 その価格に、思わず興奮しながら、店内を見て回る。 気が付くと、さっきまで、一緒にいたはずの彼とあの子がいない━━━。 ホームセンターへ出掛けると大概はぐれ…

3月32日 ~服の貸し借り~

朝食を済ませ、身支度を始めた。 「おっ、そのパーカーいいよね。俺もそんなの欲しいなぁって思ってるんだよね。」 あの子が着替えた黒のパーカーを羨ましがる彼。 「じゃぁ、今日はこれ、お父さんに貸してあげるよ。」 「え?いいの?じゃぁ、お父さんのこ…

3月32日 ~3月32日~

「あぁ、腹減った。」 あの子の声に、朝食の準備を始めることにした。 休日の朝は、パンにすることが多い我が家。 手早く朝食の準備を整えると、食卓に着き、 パンをちぎりながら、何気なくテレビの声に耳を傾けた。 「さて、3月32日の今日━━━」 アナウンサ…

3月32日 ~確信~

私は、再び彼の真横に座り、彼の顔を覗き込んで、じっと見つめた。 眉毛、まつ毛、彼の瞳に映る私、輪郭、少しだけ生えた髭、どこからどう見ても本物だ。 納得できる確信が持てたら、もう、考えることを辞める━━━。 とは言っても、大したことは、思いつかな…

3月32日 ~何が夢で何が現実か~

その時、 ガチャ 不意に開いたドアの音に驚き、飛び退くように彼から離れ、ドアの方を見ると、そこにあの子が立っていた。 「おはよう」 眠そうに目をこすりながら、ボサボサ頭で部屋に入って来たあの子の姿に、私は思わず叫んだ。 「デカッ!!」 ━━━そう叫…

3月32月 ~彼の温もり~

ここは、2年と2ヶ月程前まで住んでいた、彼と過ごした家だった。 驚きながら声が聞こえた方へ振り返ると、そこには、彼が立っていた。 「ちゃんと早起き続いてるんだね。関心、関心。 休みの日は、決まって寝坊してた数ヶ月前が懐かしいねぇ。」 何も言葉の…

3月32日 ~彼からの電話~

彼がこの世を去ってから、もうすぐで4年と8ヶ月を迎えようとしている━━━。 あれから私は、少しは強くなれただろうか。 窓から空を見上げ、これまでのことを思い出していた私の携帯電話の着信音が聞こえる。 画面を見ると相手の番号は、見たことのない変な番…

3月32日 ~翼を休める場所~

四苦八苦しながら、引っ越しを終えたばかりの頃の私は、よく眠っていた記憶がある。 それまでの2年5ヶ月分の疲れを取るかのように、本当によく寝ていた。 休日などは、一通りの家事を終えると、いつの間にか眠っていたこともあった。 そうして、存分に眠った…