拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

黒のダウンジャケット

あなたへ 近頃のこちらは、随分と寒くなって来ました。 先日、夕方から、外出予定だったあの子が、出掛ける前に、着て行く服を迷いながら、これ、どうかな?って、私に着て見せたのは、あなたのお気に入りだった、黒のダウンジャケットでした。 これ、すごく…

夜の広場

あなたへ 先日、雨が降る寒い日に、武道のお稽古場まで、あの子を迎えに行った夜のことでした。 少し早く着いた私は、車内から、静かな夜を眺めました。 厚い雲に覆われた夜空。フロントガラスに、静かに当たる雨。 暖房を掛けた車内で、あなたを待っていた…

オレンジ色のバッグ

あなたへ あなたを見送ってから、ずっと、私には、触れられないものがありました。 あなたの仕事用の、オレンジ色のバッグ。 毎日、あなたと一緒に、仕事に出掛けていたそれは、あまりにも特別な気がして、ずっと、向き合えないでいたあなたの遺品でした。 …

ハロウィン

あなたへ 今日は、ハロウィンです。毎年のこの日、我が家でも、ハロウィンを意識した夕飯を楽しむようになったのは、いつの頃からだったでしょうか。 あれは、初めて、ハロウィンのメニューに挑戦した年のことでしたね。 ジャック・オー・ランタンをイメージ…

Sボード

あなたへ あなたについて、誰かに聞かれたとしたら、私は、まず、こう答えると思います。 あなたは、なんでも出来る人だった あなたは、器用で、頭が良くて、勘が良かった。そんなあなたのことが、いつでも自慢で、羨ましくて、ほんの少しだけ、悔しかった。…

コトバ -秋-

秋の色を 覚えていますか秋の音を 覚えていますか秋の風を 覚えていますか その瞳に映った景色その耳で感じた季節その肌で感じた温度を覚えていますか 一緒に過ごした初めての秋 少し肌寒い夕暮れにふたりで寄り添ったこと 私の温度を 覚えていますか 自然が…

あなた

あなたへ ねぇ あなた ねぇ あなた 何でもないただ、呼んだだけ 私は、あなたと出会って、何度、あなたの名前を呼んだでしょうか。 あなたのこと、こう呼んでもいい? 出会ったばかりの私たちは、そんな初々しい会話がありましたね。 初めて、あなたの名前を…

大人の味

あなたへ あなたの好みのコーヒーは、砂糖を多めに入れた、甘いコーヒー。あなたと一緒に、コーヒーを飲んでいた頃の私は、あなたの半分程の砂糖を入れたものが好みでしたが、今は、砂糖を入れず、ミルクだけで飲むようになりました。 そして、あなたを見送…

あなたにしか出来ないこと

あなたへ 俺の字、汚いよね 先日、宿題をしていたあの子の一言から、あなたが書く、字の話になりました。あなたの字は、均等で、真っ直ぐで、とても、綺麗な字でした。 俺が小学生の頃、親父に教わったんだ そう話してくれたのは、あの子が小学生の頃でした…

帽子

あなたへ 先日、あの子の部屋を何気なく見渡すと、高いところに飾ってある、あなたの帽子が目に留まりました。 何故だか分かりませんが、自分の居場所は、ここだと言わんばかりに、そこにあるように見えたその帽子は、ひっそりと、あなたを待っているように…

新しい手帳

あなたへ 先日、来年用の手帳を買いました。 新しい手帳を買うと、まずは、2月5日のページを開く私は、毎年のこの時期、あなたの誕生日を知った日のことを思い出します。 あなたと出会って、初めての秋。翌年用の可愛い手帳を買ったばかりの私は、あなたに見…

パラレルワールド

あなたへ あれは、あなたと一緒に、パラレルワールドが描かれた映画を観た後のことでした。 パラレルワールドが、本当にあったら、面白いね そんな私の言葉に、 俺は、あると思うよ あなたは、そう言って、話して聞かせてくれましたね。 人生の分岐点に立っ…

前髪が上手に切れた日

あなたへ 先日、前髪を切りました。 あの日、ハサミとコームを準備した私は、鏡の前で、目を閉じて、前髪を切ってくれていた時の、あなたの事を思い出していました。 目を閉じた私のすぐ前に座るあなた。私の前髪を指で挟んだあなたの手の感触。そっとハサミ…

アルバイト

あなたへ あの子の夏休みが終わり、またいつもの生活が始まりました。 実は、あの子は、夏休みから、アルバイトを始めました。これからは、学校、武道のお稽古、アルバイトと、忙しくなるあの子ですが、とても張り切っています。 アルバイトを始めてから、1…

来世

あなたへ 来世って言葉あるでしょ?またいつか、生まれ変わるってこと。 思えば、あなたとは、そのことについて、話したことがなかった気がしますが、あなたは、前世や来世について、どんな考え方だったのかな。 私はね、前世や来世って、あるんじゃないのか…

3度目の夏

あなたへ 8月最終日の今日は、雨降りの1日でした。あれから、3度目のこの夏は、曇りや雨の日が多く、夏らしくない夏のまま、気が付けば、随分と日が短くなりました。このまま、秋を迎えるようです。 空を眺めては、あなたを想い、寂しい気持ちだったのは、天…

コトバ -弱虫の抜け殻-

平坦で石ころのひとつも落ちていない道のど真ん中でうずくまった 彼が守ってくれていた世界はもう何処にもないのに怖くて踏み出せない一歩に私は自分の足を呪った 自分の居場所はここではないと分かっているのに一歩が踏み出せない私は弱虫だ 坂道でもなく石…

デート

あなたへ 今朝、あなたと、デートしている夢を見ました。 大きな湖で、一緒に、ボートに乗ったり、何処かを観光しているような夢でした。 夢の中のあなたは、心臓を患ったままで、私は、あなたの体を心配しながらも、とても、幸せな気持ちで、2人で、ゆっく…

近頃のこと

あなたへ 長いように感じたあの子の夏休みも、残り1週間程になりました。 最近になって、ようやく焦り出したあの子は、勉強を再開したようです。 暫くの間、勉強に手を付けなかったために、色々な事を忘れてしまったようで、分かっているはずなのに解けない…

お盆のこと

あなたへ もう、そちらへ着いたでしょうか。あなたを、そちら側へ送り出し、3度目のお盆。今年は、ゆっくりと寛いでくれましたか? 楽しみで・・・楽しみ過ぎて、ちょっぴり緊張しながら迎えたお盆初日の朝は、いつもよりも早くに目が覚めました。 あなたへ…

最後の言葉

あなたへ あなたのその姿を最後に見たのは、丁度、3年前の今日でした。 あなたが息を引き取り、一度は決めた覚悟でしたが、1日、また1日と時間が経つにつれ、私は、この日を迎える事が、怖くなっていきました。 その姿を残したまま、いっそのこと、このまま…

あの子の道

あなたへ 高校生になったあの子は、すっかり、新しい生活に慣れると、徐々に、勉強をしなくなりました。 学校での、友達との時間は、楽しいけれど、授業は、つまらない 何のために勉強するのかな 頑張って勉強しても、それが将来の役に立つとは思えない これ…

あなたを想う日 -2017-

あなたへ あなたのその手の温かさを、最後に確認してから、今日で、3年が経ちました。 今日は、あなたをたくさん想う日。 あなたと出会った時のこと。 あなたが、どんなふうに、笑っていたか。 初めて、手を繋いだこと。 たくさん、あなたの名前を、呼んだこ…

花火大会

あなたへ 先日、花火大会がありました。 あなたとあの子と私。最後に3人で観に行ったのは、4年前でしたね。 あの次の夏は、あなたが入院した夏。そして、その次の夏と、次の夏は、あの子の武道の大会があり、先日、あの子は、4年振りに、花火大会に出掛けま…

不思議の始まり

あなたへ 思い返せば、私に、不思議な出来事があったのは、あれが始まりでした。 あなたの容態が、急変したあの日から、しばらくの間、私は、過呼吸に苦しみました。 あなたの検査手術のあったあの日、院内であの子と待ちながら、私は、翌日に控えたあなたの…

コトバ  -夏の音- 2017

今年もまた夏が来たよ 今年の夏は曇り空続きでなんだか物足りないけれど 厚い雲に覆われたこの空の向こうはいつでも晴れているんだろうな 見上げた空にあの夏を重ね合わせゆっくりと足を止めた 出会った日の事を覚えていますか? 日焼けした彼の笑顔を思い出…

小さな秘密

あなたへ 3年前の今日は、一時退院の予定の日でしたね。 あなたの一時退院が決まったのは、1週間程、前の事だったでしょうか。あの日から、ずっと、ワクワクしていた事、よく覚えています。 あなたが帰宅した時に、ゆっくりと寛いで欲しくて、時間を見つけて…

笑うこと

あなたへ おにぎりの中身って、どんぐり? これは、先日、あの子が寝ぼけて言った言葉です。 寝不足の朝は、時々、変な事を言うあの子。近頃、忙しいあの子は、なかなか朝が起きられません。 先日のこの言葉には、朝から、ひとりで笑ってしまいました。 今朝…

一生分の我儘

あなたへ 私は、とても我儘。先日、職場で、世間話から、そんな話をしました。 すると、先輩から、それは、本当に気を許した人にだけでしょあなたは、とてもいい子だと思うそんな言葉を掛けて頂きました。 それは、本当に、気を許した人にだけでしょ その言…

寂しいの世界

あなたへ 梅雨が明けたというのに、曇り空が続くせいでしょうか。日の差さない空を見上げては、ため息が漏れる、ここ最近の私は、寂しがり屋です。 何か嫌な事があった?って、聞かれたとしたら、あった、かな。 ほんの少しの嫌な事。 本当は、私にとっては…