拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

コトバ

コトバ -同じ空の下-

大変でしたね 辛い思いをしましたね 今はたくさん泣いていいと思います 我慢なんて必要ありません 空を見上げながら 名も知らない方へ問いかけてみる 食事はとっていますか 眠れていますか 夜は冷えるので暖かくして下さいね その気持ち よく分かりますだな…

コトバ -秋-2019

秋の色を 覚えていますか 秋の音を 覚えていますか 秋の風を 覚えていますか その瞳に映った景色 その耳で感じた季節 その肌で感じた温度を 覚えていますか 一緒に過ごした3番目の秋 海辺で過ごした 2人の時間を覚えていますか あの日 あなたに伝えたのは ず…

コトバ -母へ-

私が 貴女を始めて お母さんと呼んだ日を 知っていますか あれは彼の告別式を終え 間もなくのことでしたね 庭の畑 貴女が大切に育てた野菜を 一緒に収穫しながら まるで世間話でもするかのように 不意に言ってくれたのでした あなたは嫁ではなく娘だからね …

コトバ -5年-

彼を見送ってから 5年と1ヶ月ほどが経った 彼を想いながら生きてきた この5年間という月日を振り返りながら 私は初めて 長かったと感じた 彼を見送ってからの月日に対して こんなふうに 何かを感じるのは初めてのことだ 相変わらず この月日を もう と表現す…

コトバ -あの日、死んでしまった私へ-

あなたは私の中の何処かに隠れて 眠っているんだと思っていたよ 何処に隠れているのだろうって ずっと探していたよ でも もう私の中に あなたはいなかったんだね あなたはあの日 誰にも知られないまま 彼と一緒に死んでしまったんだね この5年間 そのことに…

コトバ -認める-

私は時々 この人生の中で 最も辛かった記憶へと引き戻される 彼の心拍数が下がっていることを知らせる音 目の前で蘇生される彼の姿 泣きながら彼の名前を叫ぶ自分の声 部屋から出され 間も無くに聞こえた電気ショックを施す音 まだ一緒にいたいよ 壁のこちら…

コトバ -応援-

ねぇ あなたはどんなふうに生きたい? 鏡の向こう側 突然の問いかけに戸惑いながら 私は答えた どんな生き方が出来るのだろう 私には何が出来るのだろう と は?何言ってるの? 何が出来るか じゃなくて どう生きたいかって聞いたのよ 鏡の向こう側 私と同じ…

コトバ -買い物カゴの中-

例えば 焼きそば 茹でうどん 冷やし中華 豆腐 納豆 それから プリン ゼリー ヨーグルト スーパーで買い物をしながら 3個で1セットのものが多いように感じたのは いつのことだっただろう 1セットで家族3人分 それは我が家にとって 丁度良い数だった 私の買い…

コトバ -心の距離-

この温もりを感じるようになったのは いつからだろう また今日も 右手をそっと握り締めて ただ静かに そこにある空気を捕まえたよ 彼を想い 不意に心が痛くなった時 ここにいるよ とでも言いたげに 右手がふわりと温かくなるんだ それはあの日 握り返しては…

コトバ -心霊写真-

毎年のお盆に 彼の実家の地域で行われる花火大会に出掛けるようになったのは あの子が生まれ どれくらいが経った頃からだっただろうか 彼の家族と皆で一緒に花火を観に行くことが いつの頃からか恒例の行事となっていた 彼が息を引き取ったあの年も 彼の家族…

コトバ -盆の入り- 

おかえりなさい 今日の日をとても楽しみにしていたよ もしも今 目の前にあなたの姿が見えたのなら 本物かどうかを確かめるように きっと私は 何度もその頬に触れてしまうのでしょう そんな私のされるがままになりながら あなたは そろそろ気が済んだ?なんて…

コトバ -夏の音- 2019

今年もまた夏が来たよ 照りつける太陽に目を細めながら 空の彼方へ 夏が来たことを知らせてみる 今年の梅雨明けは 例年よりも遅かったらしいよ 気が付いたら7月が終わっててさ もう8月だって 待ちわびた夏の音を聞きながら目を閉じると 彼と出会った最初の夏…

コトバ -痕跡-

ふと周りを見渡して 寂しくなる こんな瞬間は あの日から 何度 経験したのだろう 4年と10か月前 私の側には 沢山の痕跡があった 彼が息を引き取り 家に帰ったあの日の気持ちは 今でも忘れられない つい最近まで 家族3人で暮らしていた痕跡 彼のお茶碗 お箸 …

コトバ  -もしも-

もしもあの時 少しだけ運命が違っていたら 私は今 何をしていたでしょうか その温かな手を握りしめて 私はあなたに 何を伝えたでしょうか もしもあの時 少しだけ運命が違っていたら あなたは今 此処で何をしていたでしょうか あなたのすぐ側で 私は何を学び …

コトバ -春- 2019

春の風を 覚えていますか 春の色を 覚えていますか 春の匂いを 覚えていますか その髪を揺らす 爽やかな空気を その瞳に映る 鮮やかさを 鼻を擽る 甘い香りを 覚えていますか 一緒に過ごした二番目の春 初めて訪れた土地 一緒に見た初めての景色 あの日の空…

コトバ -これから春を迎えるキミへ-

昼間のやわらかな陽ざしが 暖かくて気持ちがいい 春を感じられる陽気になってきたね 彼を送り出して 2回目の春を迎えるキミは今ごろ ただ目の前にある試練と必死に戦っているところだね 今のキミはまだ もうすぐあの日を迎えることを 知らずにいるんだ 晴れ…

コトバ -冬- 2019

冬の色を 覚えていますか 冬の音を 覚えていますか 冬の匂いを 覚えていますか その瞳に映った景色 その耳で感じた季節 冬の澄んだ空気の匂いを 覚えていますか 一緒に過ごした二番目の冬 暗い夜道に逸れてしまわぬようにと 強く繋いだ心の距離 ふたりだけの…

コトバ -祈り-

どうかこのまま真っ直ぐ前へと進めますように 時々 壊れそうになるこの心ができるだけ穏やかでいられますように 彼が行きたかった場所へ無事に辿り着くことが出来ますように 私は1日1日を大切に過ごせているでしょうか 目標に沿った生き方が出来ているでしょ…

コトバ -救う-

あれもこれもしてあげることができて良かった私は時々そんなふうに考える 大切なご家族を亡くされ憔悴しきった先輩色々と後悔していることがあってねそんな話を聞かせてくれた その気持ちに同調しながら私は話したんだ あれもこれもしてあげることができて良…

コトバ -彼がくれたもの-

茶色の クマのぬいぐるみ赤い うさぎのぬいぐるみキーホルダー文房具パズルステッカー服小物入れアクセサリー木彫りのうさぎキノコの置物 私の部屋は彼がくれたものでいっぱいになった 誰かを想う気持ち笑顔永遠の愛かけがえのない命絆何処にでもある小さな…

コトバ -秋- 2018

秋の色を 覚えていますか秋の音を 覚えていますか秋の風を 覚えていますか その瞳に映った景色その耳で感じた季節その肌で感じた温度を覚えていますか 一緒に過ごした2番目の秋 ふたりで作った思い出を数えながら微笑み合ったこと あの頃のふたりを覚えてい…

コトバ -夏の音-2018

今年もまた夏が来たよ 夏の音を聞きながら出会って2番目の夏の彼を思い出していた 地元のお祭り会社のみんなと踊るから見においでよ ほんの少し照れ臭そうに笑った彼の声 日に焼けた肌で踊る法被姿の彼にドキドキしたこと 会社の人と笑い合う私の知らない彼…

コトバ -100年後-

梅雨が明けたばかりの夏空に目を細めながらふたりが出会った夏を思い出していたよ あなたがどんなふうに笑って あなたとどんな話をしたのか 日に焼けた肌にブレスレットがよく似合っていたね 私を見つめるその瞳も私を呼ぶその声も逞しい腕も 全部大好きなあ…

コトバ -手紙-

元気ですか 私たちは元気です 今日も空を眺めながらあなたを想いました 今何を見ていますか あなたは今幸せですか 何処かで笑ってくれていますように あなたに逢いたい 愛しています 在り来たりの言葉じゃ足りなくてあなたに送りたい言葉を考えていました 伝…

コトバ -その温もりを、そっと届けてくれる人へ-

私が悲しくなるときっと遠くから飛んで来てその温もりをそっと私のところに届けてくれる人へ その姿が見えなくてもそっと寄り添ってくれるところはあの頃と何も変わらないね 苦しくて悲しい時泣き出しそうな私を優しく包んでくれるかのように背中に感じる温…

コトバ -春-

春の風を 覚えていますか春の色を 覚えていますか春の匂いを 覚えていますか その髪を揺らす爽やかな空気をその瞳に映る鮮やかさを鼻を擽る甘い香りを覚えていますか 一緒に過ごした初めての春 あなたを呼ぶこの声をあなたの手を握るこの指の感触をあなたを…

コトバ -夢の中-

彼はいつでも突然に逢いに来る それが当たり前かのように 笑ったり話したり手を繋いだり そして私も当たり前に彼に笑いかけるんだ さっきの時間の続きみたいに そこは夢の中 目が覚めると目覚めてしまったことに少しだけ後悔しながら彼との時間を思い出す 彼…

コトバ -過去へ-

今 隣にいる大切な人が居なくなったことを 想像したことはありますか 当たり前だった日常が突然に終わった日のことを 想像したことはありますか 喧嘩をして意地を張ったまま いつでも謝ることが出来ると思っていませんか 当たり前にいつでも 大切な人のただ…

コトバ -冬-

冬の色を 覚えていますか冬の音を 覚えていますか冬の匂いを 覚えていますか その瞳に映った景色その耳で感じた季節冬の澄んだ空気の匂いを覚えていますか 一緒に過ごした初めての冬 寒がりな私の冷たい指先震える私を優しく包んでくれたこと 私の温度を覚え…

コトバ -テイルランプ-

暮れゆく街並み家路を急ぎながら慣れない道に失敗した左折専用車線 真っ直ぐに行きたかったんだけどな なんて独り言を言いながら流れに乗って進んだ先は街中へと続く渋滞の列だった 上り坂何処までも続くテイルランプと街のネオンがキラキラ光る 急いでいる…