拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

コトバ  -二人三脚-

後ろを向いて
前を向いて
また後ろを向く

 

彼がいた夏がどんどん遠くなる

 

置いて行きたくないよ

 

私はここだよ 早くおいでよ

 

後ろを向いて 彼に手を伸ばしたけれど

 

彼は困ったようにこちらを見つめて

 

手を伸ばしてはくれなかった


微かに声が聞こえる

 

横を見たら あの子がいた

 

「ずっと そこにはいられないんだよ」

 

いつの間にか私の足首は

 

あの子の足首にしっかりと紐で固定されていて

 

あの子に支えられながら 歩いていた

 

何で?寂しくないの?

彼から離れたくないよ

 

足首の紐を取る気力もなく

 

私はズルズルとあの子に引っ張られた

 

いつの間にか大きくなったあの子は

 

力強くどんどん どんどん私を引っ張る

 

ねぇ 待ってよ 彼が見えなくなっちゃうよ

 

「大丈夫 あの夏にちゃんといるよ」

 

その言葉に安心して

一緒に歩く

 

ゆっくり ゆっくりと2人で歩く

 

この子は なんて強いんだろう

 

彼譲りの強さがある

 

この子の中に彼がいる

 

そうか 隣にはこの子がいる

 

2人で歩いて 歩いて

 

後ろを見たら

 

あの夏に彼がいて

 

彼は嬉しそうに笑った

 

「大丈夫 大丈夫」

 

元気がない私に 彼がよく言ってくれた言葉だ


前を向いて 時々 後ろを見る

 

いつでも 彼はあの夏にいて

 

振り返る度に 大丈夫って笑ってくれる

 

その笑顔に頷いて

 

また前を見て歩く


そうか これが生きるってことなんだ