拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

コトバ -傘-

雨の日には


あの子と私が濡れないように


彼は大きな青色の傘を差してくれた


その傘のお陰で 雨に濡れる心配もなく


いつでも安心していられたんだ


雨が止むまで 彼の青色の傘は


私達を守ってくれた


私達にとって


居心地のいい 当たり前の場所だった

 

 

ある日


青色の傘は突然に 空の向こうへと飛んで行ってしまったんだ


その日は土砂降りになった


あの子と私はずぶ濡れになりながら


空を見上げ呆然と立ちすくんだ


冷たいよ


あの子の言葉に我に帰り


私は小さな赤色の傘を差した


あの子と寄り添い 雨をしのぐ


あの子を庇うように差した傘は


小さすぎて私の肩が濡れていった


それでも


小さな赤い傘で必死にあの子を守った


濡れないように


風邪を引かないように

 


そんな時


私の肩に


あの子が 小さな小さな黄色の傘を差してくれた


そのお陰で


冷たくなった私の体は少しずつ 暖かくなった


私の小さな赤い傘の隣には


あの子の 小さな小さな黄色の傘が並ぶ


空を見上げ私が言った


なかなか止まないね


その言葉にあの子が答えた


大丈夫 きっと止むよ その時には虹が見えるかもしれないよ


ふたつ並んだ傘の下 小さな幸せはここにある


いつでも幸せのかたちは永遠ではなくて


当たり前でもない


でもここが今の幸せの場所なんだ