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拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

小さな一歩

あなたへ


あれは、病室での会話でしたね。


その前日に、雨が降って、

 

運転中に、ワイパーを掛けても、前が見え難かったんだよ。

 

そんな私の言葉に、あなたは、


ワイパーのゴムを交換した方がいいね。
近くのカー用品店に行けば、変えてくれるから。行けるよね? って。


あなたが退院するまで、待ってる。 

の、私の言葉に、あなたは、


俺は、ちょっと無理かな。しばらく掛かると思うから。

 

なんて、弱気な返事でした。

 

 


うん。本当はね、1人でも行けるよ。


あなたが、退院後、私が1人でお店に行っても、全然、構わなかった。
でも、期待した返事が、聞けなかった事が、悲しかった。


あの時は、素直に、分かったって、言ったけれど、
実は、あれから、

あなたを見送るまで、お店には、行きませんでした。


こんな事言ったら、危ないよってあなたに叱られてしまうけれど、
本当は、あなたが、あの時、いいよって言ってくれなかった事が、怖かったんです。


あなたは、守れない約束はしない人だったから、

あなたの弱気な返事に、凄く不安でした。


私が、ワイパーのゴム、交換して来たよ。なんて言ったら、

あなたは、戻って来ないのかな なんて・・・

 


あなたを送り出してから、間もなく、

あの子と一緒に、近所のカー用品店へワイパーのゴムを交換しに行きました。

 

たかが、ワイパーのゴム。


ですが、
あれは、私にとって、

2年前の夏の、小さな小さな一歩でした。