拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

お父さん

あなたへ


新しい環境に慣れたあの子は、
毎日、楽しく学校生活を送っていますよ。


学校での出来事。
新しい友達の話や、先生のモノマネ。


いつも楽しい話を、たくさん聞かせてくれますが、
先日、友達と、お父さんの話題になった事を話してくれました。


お前のお父さん見てみたいな
なんて言われ、言葉に詰まったよ と。


特に、深くは追求されることはなく、
あなたの事は、何も話さなかったそう。


新しく出会った友達は、あなたの事は、誰も知りません。
きっと、
どこにでもある他愛のない、普通の会話に、
あの子が戸惑う気持ちを想い、
心が痛かった。


あの子の顔は、寂しそうでした。


あなたの今の事を、口に出して答える時には、
いつでも胸が痛くて、
それでも、普通の顔をして答える時は、
ちょっと、喉の奥が痛くなって、
思わず、少し、俯いてします。


あの子の胸は、痛くなかったかと、
とても、苦しくなりました。


これから先、何度、こんな場面に出くわすのでしょうか。


あなたの事を不意に聞かれると、
私は、病院のベッドでのあなたが思い浮かんでしまいます。


そうして、ゆっくりと、
その記憶は、過去に遡り、
やがて、元気なあなたの姿を思い出します。


せめて、あの子には、
どんな時でも、
一番最初に、
あなたの笑顔が、浮かんで欲しいと思いました。


だって、あなたは、たくさん笑っていたもの。


私は、あなたの分まで、
あの子を抱きしめる事が出来ているでしょうか。


時々、振り返っては、
あなたを確認する私ですが、
こんな時、私の髪を撫で、
笑っているあなたが、目に浮かびます。


大丈夫、大丈夫 と。


あなたならきっと、
そう言ってくれるのでしょうね。