拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

初めての電話

あなたへ


初めて、あなたが電話をくれた時の、
あなたの第一声を、今でもよく覚えています。


もしもし
俺ですけど
あっ
俺じゃ分からないかな


初めて、あなたが電話をくれた日は、
なんだか、少し、緊張している様子で電話をくれたんでした。


分からないわけない。
だって、あの時の私は、もう、あなたしか見えていなかったもの。


今週末、空いてる?
良かったら、どこか行かない?
考えてみて


あの時のあなたったら、
空けておくよの私の言葉も聞かずに、早々に
電話を切ってしまうんだもの。


あれから、少しずつ、お互いの距離を縮めて、
あなたは、いつの間にか、当たり前のように、
俺ですけどって、電話をくれるようになりました。


私は、なんだか、それが嬉しくて、
あなたの
俺ですけどって、言葉を聞く度に、
電話のこちら側で、はにかんでいたんでした。


あれから、もうすぐ20年が経ちますが、
あの頃のあなたは、色褪せることなく、
私の中に、
鮮やかに、甦ります。


あなたと出会い、何度もあなたに恋をしましたが、
春の暖かな光に包まれながら、
今日も、あなたを想い、
胸が切なくなりました。