拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

大切な人を想う顔

あなたへ


仕事からの帰宅途中、信号待ちをしている時のことでした。
何気なく、歩道を歩く人を眺めていると、1人の人に目が止まりました。


携帯電話の画面を見て、
とても嬉しそうな顔で立ち止まったスーツ姿の若い男性でした。


あまりにも嬉しそうで、なんだか、とても幸せそうに見えたその顔に、
きっと、連絡が来た相手は、その方の大切な方なんだろう なんて、
思わず、想像してしまいました。


だって、あんなに嬉しそうな顔をさせることが出来るのは、
世界で一番、大好きな人に違いないもの。


思わず笑みが溢れてしまう瞬間。


誰かのそんな瞬間を見つけることができた私の心の真ん中に、
小さく可愛らしい花が添えられたような、そんな気持ちになりました。


大切な人を想う顔。


それは、他の誰かを幸せな気持ちにすることが出来る顔なのかも知れませんね。


嬉しそうな顔のまま、ゆっくりと歩いて行くその姿に、
なんだか、こちらまで、温かい気持ちになりながら、
私は、結婚する前の私たちのことを考えていました。


私たちも、よく携帯電話で連絡を取り合いましたね。


今日も残業だよ
今、仕事終わったよ
他愛のないやり取り
デートの約束


逢いたいな
そんなメールをした時には、すぐに電話を掛けてくれましたっけ。
もうすぐ仕事が終わるから、迎えに行くよ って。


いつも通りの会社での朝の時間。
さっき、すれ違ったね
仕事、頑張ろうね
そんなメールが届いた朝は、
いつも以上に仕事が頑張れる気がしました。


離れていても、携帯電話が埋めてくれたあなたとの距離。


あなたから届く文字には、
いつでも、私を笑顔にする魔法が掛かっていました。


あなたからの文字を見ながら、
鏡を見たことはありませんが、
あなたも、私にあんな顔をさせてくれていたと思います。


私は、あなたにも、同じ顔をさせることが出来ていたでしょうか。


私が知らないあなたの顔。
想像してみたけれど、
なんだか、上手く想像することが出来ませんでした。


この手紙を読みながら、あなたは今、
どんな顔をしていますか?