拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

コトバ -救う-

あれもこれも
してあげることができて良かった
私は時々そんなふうに考える


大切なご家族を亡くされ憔悴しきった先輩
色々と後悔していることがあってね
そんな話を聞かせてくれた


その気持ちに同調しながら私は話したんだ


あれもこれも
してあげることができて良かった
私は時々そんなふうに考えるんですよと


彼の誕生日には毎年 盛大な誕生会を開いた
出会ってからの彼の生まれた日を全部
一緒にお祝いする事ができて良かった


彼が利き手を怪我して包帯で固定していた時
身の回りのことをしてあげることが出来て良かった
彼の苛立ちを全部受け止めながら
彼の可愛い一面を見つけることができた


彼が疲れている時
マッサージをしてあげる事ができて良かった
ありがとう 楽になったよ
その言葉が聞けることが嬉しかった


彼が本当に辛い時
片時も離れず寄り添う事が出来て良かった
いつも側にいてくれて ありがとう
その言葉を 
こちらこそ いつもありがとう という気持ちで受け取った


あなたと結婚できて良かった
ちゃんと言葉にして伝える事ができて良かった
あの時の彼の嬉しそうな顔は 一生忘れない


彼を見送ってからの私は
彼は私と結婚して 本当に幸せだったのかな
時々そんなことを考える


悩みながら振り返ると
必ずそこに彼の笑顔があるのだから
それが答えということにしておこう


一生消えることはない
「あの時、ごめんね」
それと同じくらい
「あの時、良かった」があってもいいと思うんだ


これは私が私を救うためのコトバ

 


あぁ・・・そうか
そうだよね


穏やかな顔で頷いた先輩


私はあの時
先輩の気持ちを
ほんの少しだけ
軽くすることが出来ただろうか