拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

まわり道

あなたへ


あれは、前日の台風の影響で、電車が遅れた日のことでした。


学校から、気を付けて登校するようにと連絡が入った朝。
あの子は、いつもよりも少し遅くに、家を出発したんでした。


私は、いつも通りの時間に会社に出勤。
通勤途中に見かけた台風の爪痕に、
あの子は無事に学校へ行けたのだろうかと心配しながら、出勤したんでした。


夕方、いつも通りの時刻に帰宅すると、
間も無くに、帰って来たあの子の様子がなんだか、おかしい。


私の顔を見るなり、
すみませんでした
突然、頭を下げたあの子。


そうして、1日の出来事を話して聞かせてくれたんでした。


朝、駅に着くと、
台風の影響で遅れた電車が、何時に着くのか分からないまま、
電車を待つ人達がホームに溢れかえっていたようでした。


ホームで、色々な友達に会い、
お喋りをしながら、
今日は、学校サボっちゃおうか
どこからか、そんな悪魔の囁きが聞こえてしまったそう。


そうして、一旦、帰宅し、私服に着替えると、
仲間たちと、海鮮が美味しい街へと繰り出し、
新鮮な魚介類を堪能。
日が暮れるまで、楽しい時間を過ごしたようでした。


その様子を写した写真には、
1日がどんなに楽しかったのかを教えてくれるような、
生き生きとした、みんなの笑顔がありました。


台風が過ぎ去った後の、とても晴れた日。
さぞ気持ちのいい旅だったことでしょう。


1日の出来事と、反省の言葉を述べると、
どうもすみませんでした
そう言って、先程よりも、更に深々と頭を下げながら、
私好みの、ちょっと高級なアイスクリームを差し出してきたあの子。


誰に似たのか、私の扱い方が上手なあの子に、
なんだか、笑ってしまいました。


高校生になり、いつの頃からか、
自分で選んだ道に、疑問を持つようになったあの子。


頑張ろうと前を向いたり、
このままで良いのかと、急に後ろを向いたり、忙しないあの子ですが、
今の状況に疑問を持つのは、
今の道を、真剣に選んだからこそなのかも知れません。


あの日の私は、黙っていれば、分からなかったことを、
隠さず、話をしてくれたことを褒めただけで、
叱ることをしませんでしたが、
叱らなくとも、
自分で考え、また、前を向いて歩き始めたあの子は、
あの日から、少しずつ、何かが変わってきた気がします。


あの日の出来事は、決して褒められたことではありませんが、
きっと、あの子にとって、
必要な、まわり道だったのでしょう。


いつでも、想像もしていなかった形で、成長を見せてくれるあの子。
今度は、どんな驚く出来事が待っているのでしょうか。


あまり、変なことはしないでね


なんて思っていますが、
あの子のことです。


きっと、また、
びっくりするようなことを仕出かしながら、
成長していく姿を見せてくれるのでしょう。