拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

秋の夜長

あなたへ


いつの間にか、日が暮れるのが早くなり、
会社を出る頃には、
沈みそうな夕日を見ながら、帰宅する季節になりました。


今年の夏頃から、時間を見つけては、
ひとりで散歩を楽しむようになった私は、
時々、仕事帰りにも短い散歩を楽しんでいました。


夕暮れの散歩道。


いつもの公園が、違った景色に見えるのが不思議で、
ゆっくりと日が暮れるのを眺めては、
あなたのことを考える時間が、密かな楽しみでもありました。


この時期の
暗い公園も楽しいのではないか


なんて考えながらも、
心配性だったあなたの言葉を思い出しては、
真っ直ぐに帰宅するようになりました。


暗くなったら、公園の中は、絶対に歩かないでね


それは、いつかのあなたの言葉でした。


また夏になったら、夕方の散歩を楽しむことにして、
この時期は、別な時間を楽しむことにしました。


とても静かに感じる秋の夜長。


思えば、あなたが側にいてくれた頃は、たくさんの本を読みました。
あの頃の私は、
特にこの時期には、読書がしたくなったものでした。


時々、本をプレゼントしてくれたあなた。
あなたが選んでくれた本は、

いつでも、私が選ぶ系統のそれとは違った内容のものでした。


私は、その新鮮さが、とても好きでした。


私に本をプレゼントしてくれる時には、
この本、すごくいいんだって
そんな話をしてくれましたね。


本を読まなかったあなたが、
どこからその情報を仕入れて来ていたのか、
未だに謎ですが、とてもいい本でした。


読書からは、暫くの間、離れていましたが、
これまでの系統とは、違った本を買いました。


静かな夜に、本のページをめくる時間は、
あの頃の私の、好きな時間のひとつでした。


あなたを見送り、忘れていた自分らしさ。


私は、こうして、ひとつずつ、
思い出していくのでしょう。