拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

御霊前と御仏前

あなたへ

 

御霊前、御仏前、どっちの袋だったっけ?

 

いつも分からなくなってしまう私に、その都度、

どちらの袋を使えばいいのかを教えてくれたあなた。

 

覚えなくてもいいことだよ

 

あなたはいつでも、

そんなふうに言ってくれていたんでした。

 

毎回、聞けばいい

覚えなくていいよ と。

 

そんなあなたが、一度だけ、教えてくれたこと、

今でもよく覚えています。

 

四十九日を迎えるまでは、霊でいるから御霊前

そこから先は、仏様になるから御仏前なんだよ

 

その説明は、とても分かりやすく、

あの時、初めて、それについてきちんと覚えることが出来たんでした。

 

思えば、あれは、

あなたと一緒に参列した、最後の法事の準備をしていた日のことでした。

 

あなたを見送り、何度かの告別式や法事に参列しましたが、

私は、誰に聞かなくとも、その準備が出来るようになりました。

それは、あの日のあなたの言葉のお陰でした。

 

先日、あなたのお父さんの七回忌を迎えました。

法事へ行く準備を整えながら、

あなたの言葉を思い出していました。

 

覚えなくてもいいことだよ

そんなふうに言ってくれていたあなたが、最後に、

私に分かりやすいよう、説明してくれたのは、

私がもう、誰にも聞かなくてもいいように、だったのかなって、

ふと、そんなことを考えました。

 

あの頃のあなたは、とても元気なあなたでした。

あれから1年後に、あなたが此処からいなくなってしまうだなんて、

誰も予想だにしていなかったけれど、

思い返せば、

あなたは、ただの偶然を装いながら、

ひとりでやらなくてはならないことへのヒントを、

たくさん遺してくれていました。

 

どこにでも、隠れて待っていてくれるあなた。

 

そこに隠れて待っていてくれたあなたの声に、耳を傾ければ、

何故か、大抵のことが出来てしまう。

 

辛いことの方が多いように見えて、実はよく出来ている。

それが人生なのかも知れませんね。

 

お父さんの七回忌。

無事に終えることが出来ましたよ。

 

あなたのお父さんも、そちら側で元気にしていらっしゃるでしょうか。

どうぞ、宜しくお伝えくださいね。