拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

桜の木が並んだ土手の上

あなたへ

 

車で通り掛かることはあるけれど、

これまで、一度も歩いたことがなかった、

桜の木が並んだ、川沿いの土手の上。

 

春になるとピンク色に染まるあの道は、

いつかあなたと一緒に歩いてみたかった場所でした。

 

先日、あの場所を通り掛かったあの子から、

桜は咲き始めているけれど、まだ満開じゃないよ

 

そんな話を聞いていましたが、

昨日、少しだけ時間が空いた私は、

なんだか待ちきれずに、あの場所へ散歩に出掛けました。

 

少し、風が強かったけれど、暖かくて、気持ちのいい空の下。

あの子の言う通り、

満開までには、もう少し、時間が掛かりそうでしたが、

咲き始めた桜の木が並ぶあの道は、

歩いてみると、景色が良く、とても素敵なところでした。

 

もしも、あなたと一緒に、あの道を歩くことが出来たのなら、

きっと、私たちは、手を繋いで、

2人だけのペースで、ゆっくりと歩いたのでしょう。

 

そう。

昨日すれ違った、何組かの男女のように。

 

大きくて、温かなあなたの手は、きっと、あの頃と少しも変わずに、

私の手を、優しく包んでくれたのでしょう。

 

咲き始めた桜の木を眺めながら、

 

やっぱり、満開には、まだ少し、早かったね

また、来週来ようか

 

そんな話をしたのかも知れませんね。

 

車で通っただけでは、気が付きませんでしたが、

いくつかのベンチも並んでいました。

 

来週は、お弁当を持って来ようか

 

そんな私の提案に、

あなたはきっと、笑って頷いてくれるのでしょう。

 

来週も、晴れるといいねって。

 

咲き始めた桜も、

キラキラ光っていた川の水面も、とても綺麗でしたよ。

 

川の浅瀬に佇んで、遠くを見つめているように見えた白鷺の後ろ姿は、

なんだかとても、クールに見えました。

 

道端に咲いた、白くて可愛い花を見つけました。

見たことがない、トゲトゲの実がなる木を見つけました。

 

初めて歩いたあの場所で、

あなたにも見せたいものを、たくさん見つけました。

 

あなたと一緒に歩きたかったあの場所は、

とても素敵なところでしたよ。

 

もしも、あなたが隣にいてくれたのなら、

もっと、たくさんの素敵なものを見つけることが出来たのでしょう。

 

いつかあの道を歩いてみたいと思っていたあの頃の私が、思い描いていた今とは、

何もかもが違うけれど、

私はいつでも、此処からあなたを想いながら、

あなたに見せたいものを探し続けるよ。