拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

春の小さな思い出

あなたへ

 

こちらでは、桜が満開に開き、

風が吹くと、ヒラヒラと、花びらが舞う時期になりました。

 

通勤途中の信号待ちの時間。

満開の桜を眺めながら、

ふと、幼かった頃のあの子のことを思い出しました。

 

あれは、あの子が幼稚園へ入園し、間も無くの頃のことでした。

幼稚園から帰宅すると、

 

ママにプレゼントがあるよ

 

そう言って、

制服のポケットから取り出した桜の花。

 

綺麗でしょ?幼稚園のお庭で拾ったの

 

そう言って、私の手のひらに乗せてくれたんでした。

 

あの子が入園した頃、満開だった園庭にある大きな桜の木は、

あの子の大のお気に入りでしたね。

 

子育てに精一杯で、

ゆっくりと、あの子の成長を振り返る余裕などなかったあの頃。

 

毎日が大変だったけれど、

あの子の小さな手のひらに乗せた桜の花に、

なんだか、肩の力が抜けたような、そんな気がしたんでした。

 

ふと、思い出した、春の小さな思い出に、

子育ての終盤を感じます。

 

あの頃、小さかったあの子の手のひらも、足のサイズも、身長も、

私を追い越したあの子。

 

日々の雑談の中、

この子はもう、大丈夫だと、

そんな気持ちにさせられる程に、

あの子は、とてもしっかりとした子に育ちました。

 

あなたは、今、

どんな春を思い出していますか。

 

幼稚園の制服に身を包み、

元気に駆け寄って来た、あの子の笑顔を覚えているでしょうか。

 

桜が咲くこの季節は、特に仕事が忙しかったあなた。

そちら側では、

ゆっくりと、過ごせているといいなと思っています。