拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

探検

あなたへ

 

先日、何故か、急に思い立って、

歩いて近所のスーパーへ買い物に出掛けた私は、

帰り道に、これまで通ったことのない、

スーパーのすぐ横にある、細い道へと進みました。

それは、

近道が見つかるかも知れないという好奇心からでした。

 

初めて通ったその道で、何棟か並んだ、とても古いアパートを見つけました。

 

疎らに住人がいるようでしたが、

その殆どが空き家となったアパートを眺め、のんびりと歩きながら、

かつて、たくさんの人が住んでいた頃は、

どんな雰囲気だったのだろうかと、ふと考えました。

 

たくさんの人が出入りしていたそこには、

小さな子供から、お年寄りまで、

色々な人生が詰まっていて、

きっと、たくさんの笑顔が溢れていたのでしょう。

 

初めての場所に、何故か、懐かしさを覚えながら、

なんだか、とても不思議な気持ちで、

会ったことのない人たちの、

見たこともない時間を想像してみたんでした。

 

古いアパートを通り過ぎ、坂道を下って、右に曲がると、

自宅近くの大通りへと抜けることが出来ました。

 

なんだか、

タイムスリップから、現実へと戻って来たような、不思議な気持ちで、

一瞬、立ち止まると、よく知る景色を眺めました。

 

思えば、幼い頃は、探検好きだった私。

 

お気に入りのバッグにお菓子を詰めて、

友達と、よく探検へと出掛けたんでした。

 

初めての場所が嬉しくて、

そこを秘密の場所と名付けた幼い頃の私たちには、

秘密の場所が、たくさんありました。

 

自宅から少し離れれば、新しい出会いも、たくさんありました。

 

どこから来たの?

 

そんなことを聞かれながら、

初めて出会った子達と、日が沈むまで遊んだ思い出が蘇りました。

 

また遊ぼうね

バイバイ

 

そう言って別れたまま、二度と会うことのなかった、

名前も知らない子達との出会いでした。

 

大人の足で歩けば、すぐ近所の場所でしたが、

あの頃の私たちにとって、

あれは、大冒険とも呼べる素敵な時間でした。

 

いつから、そんなことをしなくなったのだろう。

 

探検仲間が、ひとり、ふたりと、遠くへ引っ越して行き、

探検が好きだった自分を何処かに置き忘れたまま、

やがて大人になった私。

 

車を運転するようになってからは、大通りだけを使うようになり、

気が付けば、私は、

外側だけしか知らないまま、

知っているつもりになっていたのかも知れません。

 

あの日、近道を見つけることが出来たかどうかについては、

恐らくあの道は、遠回りだったように思います。

 

初めて見たものに、ワクワクしながら、

気が付けば、随分と時間が経っていたことに驚いてしまいました。

 

幼い頃の、探検好きだった私が顔を出した不思議な時間。

 

遠回りをして帰りながら、

またひとつ、大切なものを思い出すことが出来ました。

 

もしも、あなたが此処にいてくれたのなら、

きっと私は、

今度はあなたを誘って、探検へと出掛けたのでしょう。

 

私たちは、

どんな秘密の場所を見つけることが出来たでしょうか。

 

一緒に探検をしながら、

私が見たこともないような、

子供みたいなあなたに逢えたのかも知れませんね。