拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

見守ることの難しさ

あなたへ

 

男の子にとって、

本当の意味で、父親が必要になるのは、中学生になった時。

 

これは、我が子が男の子だと分かった日から、

私が漠然と考えていたことでした。

 

男の兄弟がいない私にとって、

男の子の反抗期は、未知の世界でした。

 

男子中学生の反抗期というものは、

よくテレビなどで観る、

家の中で大暴れし、それを止めようものなら、

うるせぇ!クソババ!と吐き捨てられ、

手当たり次第の物を投げつけられるような、アレを想像していた私は、

その時期が来たら、

豹変する我が子と対等に向き合うことが出来るのは、

きっと、父親なのだろうと、考えていました。

 

今思えば、随分と、乏しく、そして、

大変に失礼な想像でしたが、

あの頃の私は、そんなことを真剣に考えていたんでした。

 

先日のあの子の反抗期の話から、

あの頃のことを、鮮明に思い出していました。

 

今、振り返ってみると、

あの子が中学3年生の頃が、一番、大変な時期だったように思います。

 

男の子の反抗期に、随分と偏見があった私にとっては、

想像とは全く違うやり方で、その成長を見せてくれたあの子の反抗期は、

穏やかで、優しい反抗期にも見えましたが、

やはり、反抗期は反抗期。

 

人並みに、立派に反抗期を迎えてくれたあの子の姿に喜びながら、

これまでとは違うあの子の振る舞いに、

どのように向き合えばいいのだろうかと悩み、

私は、あなたになろうと頑張ったこともありました。

 

あなたがいない日々の生活の中、

私を支えようとしてくれたことに変わりはありませんでしたが、

些細なことで、すぐに機嫌が悪くなるあの子に、

思わず、感情的になってしまったことも、度々ありました。

 

間も無く、義務教育を終えるあの子に、

もっと、たくさんのことを教えなければ。

 

そんな焦りもあった私は、

あの頃、悩みながら、立ち止まり、

考える日々が続いたこともありました。

 

そんなある日、

反抗するあの子の姿から、

 

もう、小さな子供みたいに言われなくても大丈夫だよ

 

そんな合図を送ってくれているように思えたのでした。

 

我が子に対して、感情的な気持ちになる時は、

親が子供の成長についていけていない時だ

 

これは、昔、目にしたことのある言葉です。

 

反抗するあの子を見つめながら、

 

そうか

大人になるための準備を始めたんだね

 

そう思うことが出来たあの時、

私は漸く、親として、あの子の成長に追いついたのだと思います。

 

反抗期のあの子と向き合いながら、

私は、どんなに頑張っても、

あなたには、なれないことを学び、

見守ることの難しさを知りました。

 

あの子に言われるまで、思い出すこともなかった、反抗期だったあの頃。

 

振り返ってみれば、あの頃の時間は、

私にとっても、

成長することが出来た、とても貴重で、大切な時間だったのだと思います。

 

先日、コーヒーを飲みながら、

ゆっくりと、あの子と話す機会がありました。

 

再び、話題に上がった、あの子の反抗期について。

 

何度考えても、申し訳ない気持ちになると話してくれたあの子に、

こちらこそ、

成長させてくれてありがとうと、

伝えることが出来ました。