拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

看取る側

あなたへ

 

あなたは、覚えていますか。

いつか2人とも年老いて、その最期の時の話をした日のことを。

 

私のこと、看取ってね

 

そんな何気ない私の言葉に、

 

は?嫌だよ

 

なんて、本気で怒っているように見えたあなたの顔。

 

あの日のあなたの顔ときたら、

なにもあんなに怒った顔をしなくたって・・・

今、思い出しても、思わず苦笑いしてしまうほどの、仏頂面。

 

でも、なんだか、とても嬉しかったこと、

今でも、よく覚えています。

 

あなたを見送り、私は、あの頃、絶対に嫌だと思っていた、

看取った側の気持ちを知りました。

 

看取った側と看取られる側。

 

どちらが辛いかなんて、測りようのないものなのかも知れないけれど、

看取る側の、この痛みを知った今の私は、

あなたには、こんな思いはさせたくないと考えるようになりました。

 

だから、

生まれ変わっても、また私が看取ってあげるよ。

あなたの最期の時まで、側にいてあげる。

 

でも、今度は、もっと長く側にいてね。

 

一緒に年を重ねて、

もう、目新しいものなど、何もないと思えるくらいに、

2人で、たくさんのものを見ようね。

 

そうして、

2人で皺々のお爺ちゃんとお婆ちゃんになって、

その時が来たら、私がまた、あなたを見送ってあげる。

 

今まで、ありがとう なんて、お別れみたいな言葉は言わないよ。

 

またね

もうすぐ私も逝くから、待っててねって、次に逢う約束をするの。

 

そうして、

私はまた、空を見上げて、

初めて知ったかのように、

看取った側の気持ちを、学び直すのでしょう。

 

長年連れ添ったあなたとの時間を、ゆっくりと振り返りながら、

間も無く逢えるであろうあなたを想う私には、

今とは違うものが見えているのかも知れません。

 

長年連れ添うこと

 

これは、今の私の夢です。

 

私の夢が叶い、あなたと長年連れ添うことが出来た私は、

きっと、あなたの最期を、

今とは違う形で、受け入れるのでしょう。