拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

前世のあなた

あなたへ

 

前世のあなたに、恋をしてしまいました。

 

なんて言ったら、

あなたは、どんな顔をするのでしょうか。

 

それは、夢の中での出来事でした。

 

山の麓にあるお墓で、お線香をあげ、手を合わせていると、

いつの間にか、私のすぐ側に、お爺さんが立っていました。

 

私の顔を確認し、両手で私の顔を包みながら、

自分の方へ真っ直ぐに顔を向けさせると、

 

いいね

 

そう言って笑って、山の方へと消えていきました。

 

そうして、また別なお爺さんが現れ、同じように私の顔を確認すると、

また山の方へと消えていってしまう。

 

数人のお爺さんが同じようにしながら、

山の方へと消えていきますが、

夢の中の私は、そのお爺さん達が、

自分のご先祖様であるということを知っていました。

 

そうして、最後にやってきたお爺さんを見た瞬間、

私は、何故か、あなたなのではないかと感じました。

 

思わず、

 

あなたなの?

 

そう呟いた私に、彼は言いました。

 

そうだよ

これが前の姿

 

そして、

私を優しく抱き締めてくれたところで目が覚めました。

 

暗闇の中、時計を確認すると、眠ってから1時間程が経った頃でした。

もう一度、目を閉じて、

夢の中での出来事を反芻するには、充分過ぎるほどに時間がありました。

 

今の私が知っているあなたよりも、

随分、年上に見えた前世のあなた。

 

きっと、あなたは、

前世では、長生きをすることが出来たのでしょう。

 

長く色々なものを見てきた瞳も、

生きた年齢分、刻み込まれた皺も、

優しい笑顔も、とても素敵でした。

 

私をゆったりと抱きしめたその感覚だけが、

私がよく知っているあなたと、同じものでした。

 

きっと、前世の私は、

あの姿のあなたに、恋をしたのでしょう。

 

私たちは、今よりも長く、連れ添うことが出来たでしょうか。

 

2人で一緒に、色々なものを見て、一緒に年を重ね、

私も、あなたと一緒に、

お婆ちゃんになることが出来たでしょうか。

 

夢の中のあなたを想いながら、

その温もりを忘れないように、毛布をギュッと抱き締めました。

 

あなたは、何度でも、私に恋をさせてくれる人。

 

でも、前世のあなたまでもが、

今の私に恋をさせてくれるだなんて、思ってもいませんでした。

 

きっと、夢の中のように、

その姿がどんなに変わっても、

私は、あなたを探すことが出来るのでしょう。

 

この小指に繋がれた、赤い糸を頼りにして。

 

きっと、

私たちは、何度でも恋をする。

 

そう信じても、いいですか。

 

 

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