拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

格好いいままのあなた

あなたへ

 

うちの主人、昔は格好よかったのよ

 

職場の先輩が、そんな話を聞かせてくれました。

 

今じゃ、ちょっとアレだけどね

 

なんて言葉に、思わず、一緒に笑いながら、

私は、あなたのことを考えていました。

 

私は、格好いいあなたしか知りません。

 

もしも、あのまま、

一緒に年を重ねることが出来ていたのなら、

いつか私も、

うちの主人、昔は格好よかったのよって、

そんなふうに、誰かに話す日が来たのかも知れませんね。

 

今じゃ、ちょっとアレだけどね

 

なんて、豪快に笑いながら。

 

私が知っているあなたは、

これから先もずっと、あの頃の、格好いいあなたのまま。

 

あの頃よりも、いくつもの年を重ねたあなたを想像してみたけれど、

その姿を、上手く思い浮かべることは、出来ませんでした。

 

私が会うことの出来ない未来のあなたは、

どんなあなただったのでしょうか。

 

昔は格好よかった

 

そんなふうに、過去形で話が出来るのは、

すぐそこに、幸せがある証拠。

 

何十年も寄り添い続けながら、

ふと、出会った頃のあなたを思い出す時の気持ちは、

どんな気持ちなのだろう。

 

身近な人の幸せに触れることが出来た私は、

なんだか、とても温かい気持ちになりながら、

ほんの少しだけ、胸の奥が痛かった。

 

格好いいままのあなたしか知らないのは、

とても、悲しいことなんだね。