拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

思い出話

あなたへ

 

これまでのあなたの命日には、

あなたのことについて、あまり多くのことを語らなかった私たちですが、

今年の命日には、あの子と2人で、

たくさん、あなたの話をしました。

 

あなたが息を引き取ったあの日、

2人でたくさん泣いたことや、テレビから聞こえた音楽。

 

あの日、テレビで放送された映画は、

退院後に観たいからと、

意識がなくなる数日前に、あなたに録画を頼まれていたこと。

 

あの子と2人で、泣きながら、遺影の写真を選んだこと。

 

あの日のことを、こんなふうに口に出して話すのは、

初めてのことでした。

 

そして、

あの子が生まれる前の私たちのこと。

あの子が、お腹に出来た日のあなたの言葉。

あの子が幼かった頃の思い出。

 

たくさんの話をしながら、

不意に、あの子が言いました。

 

お父さんは、どんな高校生だったのだろう

高校生だったお父さんに会ってみたい

俺と似てるかな って。

 

俺のこんなところは、お父さん似だよね

俺のこんなところも、お父さんに似てる?って、

あの子は、あなたと似ているところを探しては、

私が頷く度に、とても嬉しそうにしていました。

 

普段、あまり口にすることのないあの子の言葉は、

私が考えていた以上に、

あの子が、自分の中に、

あなたの面影を探し続けていることを教えてくれました。

 

8月8日は、たくさん泣いてもいい日。

 

そう決めていたはずなのに、

あの日に見た、澄んだ青空と飛行機雲に、涙を拭い去られ、

初めて、こんなふうに、

あの子と一緒に、たくさんのあなたの話をすることが出来ました。

 

時に、しんみりと、そして、楽しく話したあなたのこと。

 

私たちの結婚が決まった頃、

 

スーパーでも、どこでも、

出掛ける時には、必ず、一緒に行こう

 

そんなふうに言ってくれたあなたが、

ずっと、その約束を守ってくれていたことを話した時には、

 

お父さん、いい男じゃん

俺も、将来、真似しよう

 

なんて言いながら、

あの子が知らない、あなたの顔に驚きながらも、

興味津々で、私の話を聞いてくれました。

 

そう。あなたは、とても素敵な男性でした。

 

あの子と2人、あなたの話をしながら、

あなたのどんなところが好きだったのかを鮮明に思い返しながら、

改めて、あなたへ想いを寄せたのでした。

 

ねぇ、あなた。

 

たくさん、あなたの話をすることができた

あの時間は、

本当は、あの子と2人だけの時間なんかじゃなくて、

形を変えた、家族3人の時間だったのかも知れませんね。

 

あなたは、すぐ側で、

私たちの話を聞きながら、笑って頷いてくれていたのかも知れないな。

 

あの日の、あの子との時間を思い返しながら、

ふと、そんな気がしました。

 

 

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