拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

コトバ -心の距離-

この温もりを感じるようになったのは

いつからだろう

 

また今日も

右手をそっと握り締めて

ただ静かに

そこにある空気を捕まえたよ

 

彼を想い 不意に心が痛くなった時 

 

ここにいるよ とでも言いたげに

右手がふわりと温かくなるんだ

 

それはあの日

握り返してはくれなかった

彼の手の温もりに とてもよく似ている

 

いつから

この温もりを感じるようになったのか

思い出せないままに

 

もう決して

捕まえることができなくなってしまった

彼の左手を探すように

 

私はこうして

何度も空気を捕まえては

自分の右手を見つめてみる

 

私が欲しいものは

もう捕まえることが出来なくなってしまったけれど

この手の中にある

消えない温もりに安堵して

空気を捕まえたまま 胸に手を当ててみた

 

この温もりを感じるようになったのは

いつからだろう

 

覚えてないの?

 

胸に当てた手の中から

想いが伝わる

 

ずっとずっと 一緒にいたじゃん

 

そうだった

この温もりは

何度も何度も

数えきれないほどに繋いだ

彼の手の温もり

 

そうか

ずっと寄り添ってくれていたんだね

 

生とか死とか

そんなの全く関係なく

出会ったあの日から

私たちが繋いだこの手は

一度も離れたことなど なかったのかも知れない

 

ただふわりと優しくこの右手を包み込んで

それを教えようとしてくれていたんだね

 

彼はもう此処にいないけれど

不思議と

この手に感じる温もりだけは

あの頃のまま

 

私はきっと あの頃と変わらずに

彼と手を繋いで

此処まで辿り着くことが出来たのだろう

 

そしてきっと

これから先も

あの頃と同じ

彼の温もりを この右手に感じながら

歩んでいくのだろう

 

寄り添う心に 距離なんて関係ない

 

時々

この右手に感じる温もりが

それを教えてくれた