拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

コトバ -5年-

彼を見送ってから

5年と1ヶ月ほどが経った

 

彼を想いながら生きてきた この5年間という月日を振り返りながら

私は初めて

長かったと感じた

 

彼を見送ってからの月日に対して

こんなふうに

何かを感じるのは初めてのことだ

 

相変わらず

この月日を

もう と表現すべきなのか

まだ と表現すべきなのか

答えは見つからないけれど

 

ただ長かったと

私の中で

この月日を表す言葉をみつけた

 

彼を見送ってから2年が過ぎた頃の私は

 

もう2年も経つんだね

早いね

 

そんな言葉に敏感に反応し

その正体が何なのかさえ分からぬままに

腹の中で苛ついていた

 

今の私は

 

もう5年も経つの?

早いね

 

そんな言葉に

ほんの少しだけ

あの頃と同じ感情を残しながらも

 

そうですね

月日が経つのは本当に早いもので と

 

感情の籠らない笑顔で

受け答えができるようになった

 

もう

まだ

そんな言葉をつけることが出来ないただの数年間

 

こんな時間の経ち方を知らないのは

幸せな証拠なんだと思う

 

私だって彼を見送るまで知らなかった

 

だから

理解してもらおうなどとは少しも思わない

幸せなのは素晴らしいことだ

 

出来ればそのまま

私の周りにいてくれる人が

この先ずっと

こんな苦しみを知らないでいてくれたらって思うよ

 

でも

 

ただ見えているものが違うのだと理解しながらも

どんな感情にも該当しない

得体の知れない感情が沸々と湧き上がるのが嫌で

いつの頃からか

彼が亡くなってからの月日に対して

もう

まだ

と表現する人との間に

こっそりと鉛筆で線を引くようになった

 

これは私なりの 自分を守る術なのだろうか

 

割と結構な数の線が引かれてしまったのは

皆が幸せな証拠だと

 

ただぼんやりと

線のこちら側から眺めている私のことなど

誰も知らないだろう

 

今の私が

この5年間の月日に対して

長かったと感じるように

 

いつか

 

もう

まだ

と感じる日は来るのだろうか

 

今の私にはきっと

まだまだ見えていないものがたくさんある

 

数年後の私には何が見えるのだろう

 

目の前に引いた鉛筆の線を見つめながら

時々考える

 

私は

本当はこんな線など消してしまいたいのだろうか と

 

そんなことは出来るはずがないと嘲笑しながらも

いつの日か

自らが消しゴムを使って

全ての線を消す日を想像してみた

 

 

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