拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

2回目のプロポーズ

あなたへ

 

あなたの夢を見ました。

それは、なんだか、とても不思議で、幸せな夢でした。

 

夢の中のあなたも、

確かにあの日、息を引き取ったけれど、

その亡骸は、家にあるの。

 

あの子と私は、

あの頃のままの、あなたのその姿が家にいることが、当たり前で、

あなたの側で、普通に生活をしていました。

 

夢の中の私は、あなたの隣で、お昼寝をしていた様子。

そのすぐ側で、あの子は、テレビを観ていました。

 

やがて私が、お昼寝から目を覚ますと、

奇跡が起こったのです。

 

あなたが、突然に息を吹き返したのです。

 

そうして、起き上がったあなたは、

私の顔を見るなり、とても真剣な眼差しで、言ってくれたのでした。

 

俺と結婚して下さい って。

 

はい

 

そう返事をした私は、

あの子に、何度も確認してしまいました。

 

今、結婚して下さいって言ったよね?って。

 

だって、とても幸せ過ぎて、

信じられなかったんだもの。

 

そうして、あなたからのリクエストで、

コーヒーを淹れてからが大変でした。

 

あの子と私から、あなたへの質問攻めです。

 

3人で、誰もが口々に話すものだから、

もう、何を話しているのか、サッパリ分かりませんでしたが、

なんだか、とても幸せで、楽しかった。

 

ふと、話しが途切れると、

あなたは、あの子を眺めて、言いましたね。

 

大きくなったね って。

 

幸せな夢から醒めてしまった私の視界に広がったのは、

この家の天井でした。

 

そっか。

ここが私の現実なんだと、思い知らされた私は、

なんだか泣きたかった。

 

とても、幸せだったのに。

また家族3人で、暮らせると思っていたのに。

あのまま、永遠に夢の中にいたかったなって。

 

それなのに、涙を溢すことがなかったのは、

何か、とても大切なことを忘れている気がしたからでした。

 

夢の中、確かに、あなたは、

とても大切なことを伝えてくれた気がしたのです。

 

とても温かな、あなたの想い。

 

何度も、何度も、

夢の中での出来事を反芻しました。

 

そうして、私は、

夢から醒める一歩手前の、あなたの言葉を、漸く思い出したのです。

 

いつも側にいるよ って。

 

ねぇ、あなた。

とても幸せな夢から醒めた私は、本当なら、悲しいはずなのに、

今、とても幸せな気持ちがします。

 

いつも側にいるよ

 

あなたのその言葉は、私に、何の疑問も抱かせないような、

力強さがありました。

 

それにね、

あなたから、2回もプロポーズされるなんて、思わなかった。

 

2回目のプロポーズは、

あまりの驚きに、上手く言葉が出なかったけれど、

私は、ちゃんと笑えていたでしょうか。

 

側にいてくれた頃と、

そちら側へ見送ってから。

照れ屋なあなたが、2度もプロポーズしてくれるだなんてね。

 

思い出すだけで、

なんだか、ニヤけてしまいます。

 

私は、今、とても幸せです。