拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

台風の日の優しい嘘

あなたへ

 

今年も、あなたの実家から、キウイフルーツが届きました。

 

今年のキウイフルーツも、大粒で、とても美味しそう。

食べごろ間近になったら、

あなたのところにも、お供えしますね。

 

早速、あなたの実家へとお礼の電話を掛けると、

いつも通り、元気なお母さんの声を聞くことが出来ました。

 

まだ硬いから、しばらく置いておいてね

元気だった?

 

そんな話から、先月の台風についての話になりました。

 

あの日、あなたの実家と連絡を取った私。

 

停電したけれど、

朝には復旧したから、大丈夫

 

そんなメッセージと共に送られてきた、

台風の爪痕が残った写真に、思わず、息を飲みましたが、

 

家も、みんなも大丈夫

 

その言葉に、安堵していたのでした。

 

お母さんとの電話では、

実家のすぐ近くの、

崩れた道路ばかりが気になっていた私でしたが、

実は、水道が1週間も止まっていたと聞かされました。

 

水が出ないままに暮らした1週間。

どんなに大変だっただろう。

水を使わなくてもいい日なんて、1日たりともないもの。

 

漸く、水道が出るようになった日、お母さんは、

疲れ過ぎて、寝込んでしまったそうです。

 

私は、何も知らないままに、

何も助けてあげることが出来ませんでした。

 

お母さんの話を聞きながら、

なんだか、落ち込んでしまいました。

 

台風が去った後の、

こっちは大丈夫って、その言葉を信じ切っていましたが、

あれは、心配掛けないように、

優しい嘘だったのかも知れないと、

漸く気が付くことが出来たのは、

電話を切り、暫くが経ってからでした。

 

水道が止まったことは、今は言わないでおこう

心配掛けるだけだよ

 

もしかしたら、

そんなふうに、話し合いがされたのでしょうか。

 

水道が出た日には、寝込んでしまったお母さんですが、

今は、元気にしているそうですよ。

 

本当に、良かった。

 

次に会いに行けるのは、お正月でしょうか。

あなたの家族に会える日が、とても、楽しみです。