拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

今の私が見ている景色

あなたへ

 

あの頃の私の気持ちを綴った文字を眺めながら、

得体の知れないアレを思い出していました。

 

あなたを見送ってからずっと、

私は、得体の知れない何かに追われていました。

 

どんなに頑張って逃げても、

得体の知れないアレは、すぐ背後にまで迫り、

今にも私を飲み込もうとしていたのです。

 

アレから逃げるために、気持ちが焦ってばかりで、

日々の生活は、気持ちを緩める時間さえないまま、

いつでも、緊張していた私にとって、

眠る時間だけが、唯一、開放される時間でした。

 

それなのに、

なかなか眠りへと辿り着くことが出来ずに、

布団の中で、ひとり、怯える日もありました。

 

得体の知れないアレが何であったのか。

 

焦り、不安、恐怖、怒り、悲しみ

そんなふうに表現することの出来ない、

正体不明な何かであるとしか、説明することが出来ず、

今になっても、

アレが何であったのか、私にも、よく分かりません。

 

得体の知れないアレに追いかけられていたあの頃を振り返ると、

胸が苦しくなります。

 

地獄

 

あの頃のことを表現するなら、

そんな言葉が、一番相応しいのかも知れません。

 

ここへ引っ越してきてから、

得体の知れないものは、いつの間にか、姿を消し、

私は漸く、アレから逃げ切れたのだと安堵したのでした。

 

引っ越してきたこの場所は、

私に、休む時間を与えてくれました。

 

どんなに休んでも、

もう、得体の知れないアレは、どこにも見当たりませんでした。

 

だから、たくさん休みました。

 

背後を見ても、

もう、私を追ってくるものが何もいなくなった代わりに、

いつの頃からか、

私が目指す場所が、

キラキラと光り輝いて見えるようになったのです。

 

追いかけられることがなくなった私は、

いつから、

追いかけるようになったのだろう。

 

あなたが此処にいないこと。

 

あの頃の私も、今の私も、

不安で、苦しくて、悲しいことに変わりはないのに、

今の私が見る景色は、気が付けば、

素敵なものに変わっていました。

 

私はまだ、夢を叶える旅の途中であるにも関わらず、

ねぇ、あなた

私ね、頑張ってるよって、

そんなふうに、あなたに報告してみたくなったのは、

追い立てられて、前へと進もうとするのではなく、

自らが、歩を進めることができるようになったことに、

少しだけ誇らしく思えたからなのでしょうか。

 

今の私が見ている景色は、

あの頃の私には、想像もつかなかった景色です。

 

たくさん苦しんで、

たくさん泣きながらだったけれど、

私は、こんなところまで来ることが出来たよ。

 

 

www.emiblog8.com