拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

専属運転手

あなたへ

 

近頃の私は、

あの子の専属運転手かのような日々を過ごしています。

 

仕事から帰ると、早々に、

ここに連れて行って欲しいんだけど

なんてあの子の言葉に、

えー?今、帰って来たのに って、

そう言いながらも、また車へと逆戻りです。

 

特に狙われるのは、私のお休みの日。

 

この日なんだけどさぁ、お母さん、休みだよね?

こことここと、あと、ここに連れて行って

 

私の休日は、どこへ行ったのやら、

休む暇など、ありません。

 

疲れたなぁなんて、

思わず、ため息が漏れてしまうこともありますが、

車内での他愛もない会話に笑いながら、

楽しいひと時を過ごしています。

 

あと、どのくらい、

あの子とこんな時間を過ごすことが出来るのだろう。

 

あなたを見送ってからの私は、

あの子の成長と共に、

何度となく、そんなことを考えて来ましたが、

こんなふうに、あの子が私を頼ってくれるのも、

本当に、もう残り僅かなのでしょう。

 

俺は、こんな車に乗りたい

 

近頃のあの子との話題の中心は、車のこと。

 

あの子が自分の車を持てば、私などに頼らずに、

自分で、何処へでも出掛けて行くのでしょう。

 

時に面倒に感じることもありますが、

あの子と車内で過ごす時間も、無くなっていくのだと考えると、

なんだか、寂しさを感じます。

 

今日も、仕事から帰ると、

出掛けたそうな雰囲気を醸し出していたあの子。

 

それなのに、何故だか何も言おうとしないあの子に思わず、

出掛ける?って、声を掛けてみれば、

今日のあの子は、珍しく、遠慮がちに、

いいんですか?ですって。

 

あの子の用事を済ませ、漸く、ひと段落が着きました。

 

なんだか、慌ただしい日々ですが、

今は、あの子に翻弄されながら、

この時間を楽しんでいこうと思います。