拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

男の子の食欲

あなたへ

 

男の子は、

中学生くらいから食べる量が増え始めるのよ

 

これは、いつかの先輩方の言葉です。

 

あなたを見送り、

どれくらいが経った頃からだったでしょうか。

 

先輩方の話の通り、

成長と共に、あの子の食事の量は増え始め、その食欲に驚く毎日でしたが、

他の子に比べてみれば、自分は小食で、

皆はもっとたくさん食べるのだと、

いつかのあの子はそんな話をしてくれたのでした。

 

高校生になると、更に食べるようになるとも聞いていましたが、

あの子は、高校生になると、徐々に食欲が落ち着き、

以前のような量を食べることはなくなっていきました。

 

え?もう食べないの?

 

そんな私の言葉に、

 

中学生の時みたいには、食べられなくなったな

俺も年かな

 

そんなことを言って、笑っていたのは、

あの子が高校生になってから、

どのくらいが経った頃だったでしょうか。

 

あの子はきっと、

男の子にしては、小食なまま、大人になっていくのだろう。

そんなふうに考えていました。

 

ところがです。

 

寒さのせいなのでしょうか。

それとも、

話に聞いていた時期が、突然に訪れたのでしょうか。

 

最近のあの子は、

いつかの先輩方の言葉を思い出させるような食欲を、

見せるようになったのです。

 

なんか最近の俺、ヤバくない?

食べ過ぎだよね?

 

そんなことを言うあの子は、細身のまま、

食べたものは、

どこか別な場所へ消えてしまうのではないかと思うほどに、

体型は変わりません。

 

あんなに食べたものたちは、

一体どこへ行ってしまうのでしょうか。

 

たくさん食べるあの子の姿に、

 

もう、嫌になっちゃうくらい食べるのよ

 

そんな話を聞かせてくれた先輩のことを思い出します。

 

その言葉は、

実は、私も言ってみたい台詞でした。

 

最近の私は、

すぐに空になってしまう冷蔵庫の中身に、

気持ちとは裏腹に、小さなため息を吐いてみたりします。

 

明日も買い物行かなきゃ ってね。

 

そうして、以前よりも、

頻繁に寄るようになったスーパーの買い物袋を下げて、

戦闘態勢で帰宅する私は、なんだかウキウキとしてしまうのです。

 

たくさん食べるあなただったけれど、

今のあの子なら、あなたよりも食欲旺盛かも知れませんね。

 

あなたとあの子。

2人が並んで、たくさん食べる姿を想像してみました。

 

もしも、あなたがここにいてくれたのなら、

今の私はきっと、

 

うちは主人もよく食べるから、食事の準備が大変なのよ

 

なんて、世間話をしながら、

大笑いしていたのかも知れませんね。