拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

マスク

あなたへ

 

あれは、10年程、前のことだったでしょうか。

新型インフルエンザが大流行し、

この辺りのお店では、

どこでもマスクが売り切れだったことがありましたね。

 

あの年の休日、家族3人で、

マスクを探しに、出掛けた日のことを、覚えていますか。

 

あの日は、思いつく限りのお店を順番に巡りながら、

品切れの文字に落胆し、

隣町にある大きなホームセンターまで、出掛けたのでした。

 

あのお店なら、きっと、少しくらい残っているよね

そんなふうに期待をして。

 

あの日は、とても混んでいて、

駐車場へ入るにも、大渋滞でしたね。

漸く、店内へ入ると、マスク売り場へ直行した私たちでしたが、

期待は見事に外れ、そこにも、品切れの文字があったのでした。

 

あの子にだけは、どうしても。

 

品切れの文字を見つめながら、

そうだ!作業現場で使うマスクを見てみよう

そう閃いたのは、あなたでしたね。

 

一般用のマスクとは全く別な売り場へ行ってみれば、

そこには、沢山の種類のマスクが売られていたのでした。

 

一般用とは形が異なるマスクに、

嫌がるかと思いきや、あの子は、意外にも気に入って、

毎日、学校へと着けて行ってくれましたね。

 

このマスクは、息がしやすいから、気に入った

 

あの頃のあの子は、

そんなふうに話してくれましたね。

 

最近のこちらでは、新型肺炎という言葉を頻繁に耳にします。

海外で発生した新型肺炎ですが、

日本国内にも、感染者が確認されたようです。

 

人から人への感染

原因不明

発祥地の封鎖

 

不安になるような言葉が並ぶニュースを観ながら、

あの頃、家族3人でマスクを探しに出掛けた日のことを思い出した私は、

先日、念のために、マスクを多めに購入しました。

 

目には見えない病原菌。

何処に潜んでいるかなど、分かりません。

 

人が集まる場所へ行く機会の多いあの子のことが、とても心配ですが、

これで、少しだけ、安心でしょうか。

 

マスクが買えなくて、不安だったあの頃よりも、

マスクをたくさん買えた今の方が、不安です。

 

あなたが側にいてくれるだけで、

いつでも、私の不安を半分にしてくれていました。

 

あなたが此処にいてくれたのなら、

今の私たちは、どんな話をしたのでしょうか。