拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

最期の気遣い

あなたへ

 

県外で暮らしていた、あなたのお父さんの妹。

あなたの叔母さんが、亡くなっていたと知らされたのは、

年が明けてからのことでした。

 

昨年の年末にね

突然に、喪中の葉書が届いてね

私たちも、びっくりしたのよ

 

そんな話を聞かせてくれたのは、あなたのお母さんでした。

 

驚きながら、義叔父へ連絡をしてみると、

知らせずにいたのは、

本人の意思であったことを話してくれたようでした。

 

叔母さんは、不治の病に侵されており、亡くなるまでの間に、

ノートへと、意思を書き綴っていたそう。

その意思の中のひとつに、私たちへの配慮があったと言います。

 

遠方で暮らす人たちには、知らせないでほしい。

来るのが大変だから と。

 

その意思を尊重し、連絡をすることが出来なったと、

話を聞かせてくれたようでした。

 

あまりにも衝撃的な話に、戸惑いながらも、

何か私に出来ることはないかと探したけれど、

 

これは、叔母さんが遺してくれた気遣いだから、

ただ、胸の中に留めて置きなさい

お母さんも、

多くの人に、話を広めることは、しないつもりだよ

 

そんなふうに、話は締め括られました。

 

私が、あなたの叔母さんとお会いする機会があったのは、

数える程度ではありましたが、

いつも笑顔で接してくれていたことを、よく覚えています。

 

お母さんからの話を聞き終えると、

空を見上げ、

彼女の笑顔を、ただ、胸の奥へと刻み直しました。

 

爺ちゃんの妹、覚えてる?

 

少しの時間が経ち、

叔母さんが亡くなっていたことを、あの子にも伝えました。

 

覚えてるよ

あのおばちゃん、いつも笑っていたよね

 

最後に、叔母さんにお会いしたのは、

あの子が、今よりも幼い頃でしたが、

あの子の中に遺る記憶もまた、彼女の笑顔でした。

 

あなたのお父さんに、とても似ていたことや、

いつも笑顔であったこと。

私たちは、暫くの間、叔母さんとの時間を振り返りました。

 

ただ、遠くから想う。

 

こんなお別れの仕方もあるんだね。

 

私たちは、彼女が最期にしてくれた気遣いも、

彼女の笑顔も、忘れることはないでしょう。

 

突然、知らされた訃報に、胸が痛んだけれど、

あなたはもう、知っていたのかも知れませんね。