拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

13日の金曜日

あなたへ

 

今日は、13日の金曜日です。

 

13日の金曜日は、何かが起こる

 

私が初めてこんな言葉を聞いたのは、

まだ幼い頃のことでした。

 

幼い頃は、

その言葉に、何か恐ろしいことが起こるのではないかと、

意味もなく怯えていた私でしたが、

これまで、何度も過ごしてきた13日の金曜日に、

印象に残る出来事は、一度もありませんでした。

 

でも、今日は、ちょっとだけ、違ったのです。

 

朝、いつも通りに会社へ着き、玄関に入ろうとすると、

丁度、別部署の方が出て来たところでした。

 

いつも帽子を深く被っている印象のあるこの彼は、

ここ数ヶ月で見かけるようになった、

恐らくは、新しく入社した方です。

 

おはようございます

 

そう挨拶をしながら、通り過ぎようとすると、

突然、声を掛けられました。

 

あの・・・

昔、坂の上の会社で働いていませんでしたか

 

え?あ、はい 働いてました

 

僕も昔、そこで働いてました

覚えていませんか?

 

そう言って、

丁寧に帽子を取ると、よく顔を見せてくれました。

 

あっ、あぁ!覚えていますよ

 

朝の慌ただしい時間。

ほんの短い会話を交わし、出掛ける彼を見送ると、

ゆっくりと、あの頃のことを思い出していました。

 

出産を期に退職した、坂の上の会社は、

年齢が近い人たちが多く、どちらかというとアットホームな会社でした。

 

働いていた皆との関係は、

仕事仲間でありながら、友達のような関係で、

とても働きやすい雰囲気の中、

毎日、楽しく、

一生懸命に仕事をしていたこと、今でもよく覚えています。

 

あの頃の彼と私の間には、

敬語など、存在しませんでしたが、

今朝の会話を反芻してみれば、

お互いが、随分と大人になったことを、教えてくれました。

 

きっとこれが、

月日の流れというものなのでしょう。

 

私があの会社を去ってから、彼も、あの会社を去り、

18年の時を経て、

再び、同じ会社に勤めるだなんて、

なんだか、とても不思議ですね。

 

13日の金曜日は、何かが起こる

 

カレンダーを眺めながら、

ふと、幼い頃に聞いた言葉を思い出しました。

 

今日のこの13日の金曜日も、

不吉なことは、何も起こりませんでしたが、

なんだかとても、印象に残る13日の金曜日でした。

 

今日のこの出来事に、

私が、あの、坂の上の会社を去った日のことを、

鮮明に思い出しました。

 

あの日の私は、

お腹の子と、家族3人で、幸せになります だなんて、

今思えば、なんだか恥ずかしい台詞と共に、会社を去りましたが、

あの時、私の中に浮かんでいたのは、あなたの笑顔でした。

 

18年振りの彼との再会は、

幸せでいっぱいだった、あの頃の私の記憶を、

鮮明に、思い出させてくれました。