拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

芸術作品

あなたへ

 

この2年間の、あの子のバイクライフを見守りながら、

私の中でのバイクへの印象が、随分と変わったように思います。

 

ここを少しだけ変えて、今はこうなったよ

 

この2年の間に、あの子のバイクの写真を見せられながら、

何度、詳細な説明を聞いたでしょうか。

 

ライトを変え、

シートを変え、

色を変え、

足りないものは、材料を揃えて自分で作ります。

配線関係も、きっと自分で勉強したのでしょう。

思いのままに仕上がったあの子のバイクは、

購入当初よりも、随分と印象が変わりました。

 

あの子のバイクは、一言で言えば、お洒落です。

落ち着いたカラーに、ほんの少しだけ、差し色を。

いつもピカピカに磨き上げて、

どんなに大切にしているのかが良く分かるバイクなのです。

 

あの子のバイク仲間も皆、同様に、

好みのままに、自分で直すのだと言います。

 

バイクという乗り物は、芸術作品ではありませんか。

 

失礼ながら、バイクに対して、

あまり良い印象を持っていなかった私ですが、

バイクについてを知れば知るほどに、

バイク乗りの皆様が、芸術家にも見えてくるのです。

 

視点を変えれば、別なものが見えてくる。

 

いつでも楽しそうに、バイクの話を聞かせてくれるあの子が、

私に、別な視点から、その世界を教えてくれました。

 

あなたなら、絶対に、あの子がバイクに乗ることに反対しない。

私の中で、そう断言し、

一度だけ、あの子のお父さんになり、あの子の背中を押したよと、

先日、そう報告しましたが、

あなたが何故、あの子の背中を押すのか、

この2年間で、その理由が、よく分かりました。

 

もしも、あなたが此処にいてくれたのなら、

今頃のあなたは、あの子と一緒に、バイクをいじりをしながら、

私たちが見たことのなかった、

その技術を披露してくれていたことでしょう。

 

それなら、こうした方がいいよ

 

あなたの的確なアドバイスに、あの子はきっと、

尊敬の眼差しで、あなたを見つめるの。

 

あなたとあの子。

2人で協力し合いながら、

楽しそうにバイクの手入れをする2人の姿が目に浮かぶようです。

 

そこにいる私は、

あなたのどんな芸術作品を見ることが出来たのでしょうか。

 

バイクの手入れを終えると、

ちょっとだけ、走りに行かない?

そう声を掛けるのは、きっとあなたの方が先なのでしょう。

 

だって、バイクの世界を知るあなたなら、

あの子がバイクに興味を持ったことに、とても喜んだはずだから。

 

私たちが見ることの出来なかった、今の家族3人の形には、

バイクから見る景色が加わり、

その世界は、更に広がっていたのでしょう。

 

きっと、そこにいる私は、

これまでに見たことがなかった、あなたの新たな顔を発見し、

あなたのバイクの後ろに乗りながら、

またあなたに恋をしたのでしょう。

 

勝手に緩む頬をそのままに、

あなたの背中の温もりを感じながら。

 

目を閉じて、

見ることが出来なかったあなたの芸術作品を想像してみます。

 

あなたは、手先がとても器用だから、きっと、芸当も細かいの。

 

クールな印象を持たせながらも、

きっと、私の好みも忘れずに入れてくれる。

 

差し色は、きっと、ピンク色。

 

私が喜ぶ顔を、満足そうに眺めながら、

あなたは、言うのでしょう。

 

ヘルメット持っておいで って。