拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

あなたの願いが叶いました【6】

 

「天国・・・まで、お願いします。」

 

私の言葉に、一瞬、動きを止めたおじいさんは、こちらをじっと見つめた。

白くて長い眉毛の奥にあるブルーグリーンの瞳が一瞬、

悲しげに揺れたのは、気のせいだったのだろうか。

次の瞬間には、巨大なルーペを手に、地図を確認している。

 

「天国とな?その願い、しかと受け止めた!

では、改めて。

おめでとうございます。あなたの願いが叶いました!

出発じゃ!

ここから、88度の方向へ、真っ直ぐに!」

 

お爺さんの言葉を合図に、

私たちが乗ったマザーリーフは、ゆっくりと浮上し始めた。

少しずつ、街が小さくなっていく。

 

こんなふうに、自分が住んでいる街を眺めるのは、初めてのことだ。

私はずっと、特に何もない街で暮らしていると思っていた。

けれど、それは違っていた。

上空から見下ろしてみれば、宝石を散りばめたような景色に、とても感動した。

私は、こんなに素敵な場所で暮らしていたんだな。

 

気が付けば、大きなマザーリーフに乗って空を飛ぶという、

この恐ろしく現実離れした目の前の出来事に慣れ、景色を楽しむ自分がいた。

 

「わぁ!凄い!」

初めて見た景色に、思わず歓声を上げると、おじいさんは、満足そうに笑った。

「そうであろう?凄いであろう?」