拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

初夏

あなたへ

 

あれ?桜の木が緑色だ

 思わず、こんな声を上げたのは、つい先日のことでした。

 

ピンク色に変わりつつある桜の木も、

ピンク色の桜の木も、

緑色へと変わりゆく桜の木も、車内から眺めていたはずなのに、

すっかりと緑色へと変化したその姿だけは、何故だか目に入らないままに、

私は、これまでを過ごしていたようです。

 

ふと、周りを見渡してみれば、

道端に咲く花たちも、色を変えて、

ひっそりと、季節の移り変わりを知らせてくれていました。

 

いつの頃からか、季節の景色を楽しむようになった私ですが、

近頃の不穏な状況から、

今年の私には、周りを見渡す余裕が、なくなっていたのだと気が付きました。

どんな世の中であろうと、

景色は、その季節を教えてくれるものなのですね。

 

気が付けば、こちらでは、初夏の季節を迎えました。

毎年、この時期になると、ワクワクとしてしまう私ですが、

やはり、今年の私も、

見上げた空に、なんだかワクワクとしてしまいます。

 

細心の注意を払い、出来る限り、

家からは出ないことを心掛けている私たちは、

幸いにも、これまでを元気に過ごすことが出来ました。

 

ここまで頑張ることが出来たのだから、

絶対に、元気なままで、この事態を乗り切りたい。

 

あの時、行かなければ良かった。

ではなく、

あの時、行かなくて良かった。

そんな毎日を過ごさねばなりません。

 

あの子も、たくさんの我慢をしています。

ここで、私が弱音を吐くわけにはいきませんが、

あなたにだけ、こっそりと、本音を言ってもいいですか?

私ね、本当は、散歩に行きたいの。

 

大好きな場所で、心地の良い風に吹かれながら、

ただ、あなたを想い、空を見上げる。

私の大切な時間が、

早く此処に戻って来て欲しいと願う今日この頃です。