拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

明晰夢

あなたへ

 

幼かった頃の、あの子の夢の中の話を、

あなたは覚えていますか。

 

幼い頃のあの子は、夢と現実の区別がついていて、

起きたい時には、自分の意思で、夢から覚めることが出来るのだと、

そんな話を聞かせてくれたことがありましたね。

 

夢の中が飽きたなって思ったらね

高いところから飛び降りれば、起きられるんだよ

 

誰もが同じように、

夢と現実の区別がつくものだと思っていたあの頃のあの子は、

皆がそうでないことを知ると、

不思議そうな顔をしていましたっけ。

じゃぁ、起きたくなったらどうやって起きるの?って。

 

それは、明晰夢だね

あの時のあなたは、そう言いながら、

俺も時々、明晰夢を見ることがあると、話してくれましたね。

 

先日、あの子が、

幼い頃の、夢の中での話をしてくれました。

 

今のあの子はもう、

それらのことは出来なくなってしまったそうですが、

あの頃のあの子は、

夢と現実の区別が出来、自由に起きることが出来るだけでなく、

一旦、目を覚ましても、

もう一度、夢の中に戻ろうと思えば、

また夢の続きを見ることが出来たそうです。

 

夢の続きを見る。

それは、是非とも習得したい技だと思いました。

 

もしも、私にそれが出来たとしたのなら、

例えば、夢の中でのあなたとの会話の中、

途中で、目が覚めてしまったとしても、

 

ねぇ、あなた

さっきの続きなんだけどさ

 

という具合に、あなたと好きなだけ、話が出来るではありませんか。

 

明晰夢は、誰でも見ることが出来る。

夢を自由に操ることが出来、

また、夢の続きを見ることも出来るのだと、

調べてみれば、こんな言葉を目にしました。

 

今の私にとって、

夢の中で、あなたと過ごす時間は、掛け替えのない大切な時間です。

一度くらい、

私の方から、あなたに逢いに行けたらいいな。

こんなことを考えながら、読み進めてみましたが、ふと、思いました。

 

夢の中、これは夢だと知りながら、

あなたの側にいるのは、

今の私が知らない、辛い気持ちがするのかも知れません。

 

自由に、夢の中へ戻ることが出来たとしても、

そこが夢だと知りながら、あなたの側にいる時間は、

今の私が感じる幸せとは、きっと、また別なものへと変わってしまうのでしょう。

 

それなら、

私にとっては、

夢から覚めるまで、そこが私の現実かのような世界にいる方が、

幸せなのかも知れません。

 

あなたと過ごす夢から覚めた時の私は、

なんだ。夢だったのかって、大きく落胆して、

時には泣いてしまうけれど、

夢の中で過ごすあなたとの時間は、とても幸せな時間です。

 

だから、やっぱり、私は、

このまま、夢と現実の区別が出来ないままで、

良いのだと思いました。

 

今度はいつ、あなたに逢えるのだろう。

その時は、あなたと、どんな時間を過ごすことが出来るのかなって、

ワクワクとしながら眠りに就く。

そんな楽しみがあるのですから。