拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

これは、コロナ太りではありません

あなたへ

 

この数ヶ月の私は、

せっせとあの子の好きな食べ物を準備していました。

 

食事の他に、お腹が空いた時には、

いつでも温めて、簡単に食べられるようにと、冷凍食品。

それから、あの子の好きなアイスクリームやお菓子。

 

不安な気持ちで家にいるあの子の側に、

ずっといてあげることが出来ない分、

せめて、あの子の好きな食べ物を。

 

これは、私なりの母心というものでした。

 

コロナ太りという言葉を頻繁に目にするようになったのは、

コロナウイルスが蔓延してから、

どれくらいが経った頃からだったでしょうか。

 

ゴールデンウィークが過ぎ、少しの時間が経った頃から、

あの子は、体型が変わったと、気にするようになりました。

 

俺、太った?

ねぇ、本当のこと、言って?

少し、太ったよね?

 

じっと、私を見つめるあの子。

 

あっ、えっと、

ほんの少し、ふっくらしたかも知れないね

 

長く続けていた武道を卒業し、思うように外出も出来ずにいたあの子です。

以前と全く同じ体型というわけにもいかないでしょう。

全体的には、細いままの体型のあの子ですが、

顔やお腹辺りが少し、ふっくらとしたような気がしました。

 

だよね

太ったよ

だって、俺、食べてばっかりじゃん

 

以前から、体型を気にして、筋トレをしていたあの子ですが、

近頃は、更に、筋トレに力が入るようになったようです。

 

ダンベルを持ちながら、激しく躍り狂うあの子や、

どう表現していいのか分からない、

腹筋に効きそうな激しい動きをしているあの子を、

頻繁に見かけるようになりました。

 

そのお陰でしょうか。

あなたに似て、筋肉が付きやすいあの子は、

すぐに、引き締まった体型へと戻りました。

 

以前にも増して、

引き締まった体型に満足したのでしょう。

 

俺はね、わざと少し太ったわけ

最近太ったのは、

これを筋肉に変えるためだから

 

先日のあの子は、こんなことを言い出しました。

 

実際には、脂肪が筋肉に変わるということはないそうですが、

コロナ太りをも前向きに捉えたあの子の発言は、

素晴らしいではありませんか。

 

とても奇遇ではありますが、

私も、夏に向けて、

筋肉をつけるために、わざと、少し太りました。

 

いえ。

あの子と一緒に、美味しいものを食べる機会が増えたからと言って、

決して、太っちゃったわけではないのです。

あの子とは、本当に気が合います。

 

先日、手紙に書いた足の怪我の痛みは、相変わらずではありますが、

漸く、少しずつ痛みが和らいできました。

 

足を庇いながら、歩かなければならないのは、相変わらずですが、

私も、暫くお休みしていたストレッチを再開することにしました。

 

いつの日か、そちら側で、

あなたに再開できた日のことを想像してみます。

 

もしも私が、ずっと長く生きることが出来たのなら、

私の顔を覗き込んだあなたが、悪戯顔で、

おばあちゃんだな なんて、言ったとしても、

笑って頷くつもりでいますが、

随分、太ったな などとは、決して言わせませんよ。