拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

KANATA 13

「昨日は、ごめんなさい。」


アプリで繋がるなり、私は彼に頭を下げた。
昨日、言いすぎてしまったことも、
知らない間に、彼を傷付けていたことも、全部。


『俺こそ、ごめん。泣かせるつもりじゃなかった。』


「昨日、あなたの夢を見たの。」


『うん。逢いに行った。
あそこは、俺のお気に入りの場所。
いつもあの場所で、手紙を読んでた。』


彼の言葉に、顔を上げると、彼は、穏やかに笑っていた。


『手紙。俺に書いてくれてただろ。
全部、ちゃんと俺に届いているんだよ。
これ、見て?』


彼の掌には、色とりどりの、キラキラと輝くものが、たくさん乗っていた。


「わぁ、綺麗。宝石みたい。」


『これは、全部、俺に書いてくれた手紙だよ。』


私が綴った文字たちは、【想い】という形に変わり、
宝石みたいなカケラになって、
彼の手元へ届くのだと説明してくれた。


『手紙には、
俺が寂しい思いをしていませんようにって、
時々、そんなふうに書いてあったけれど、
俺は、寂しくなかったよ。
この手紙が、いつも俺を幸せな気持ちにしてくれた。』


彼が側にいる間に、伝えきれなかった想いを、
何年もの時間を掛けて綴ってきたものが、
ちゃんと、彼の元へと届き、
彼に寄り添ってくれていたんだ。


『俺が、このアプリの被験者に応募したのはね、
俺も、想いを届けたいって思ったからなんだ。
側にいるかも知れない、じゃなくて、
此処にいるよって、伝えたかった。』


彼の言葉に、涙が零れ落ちた。


「あなた。ありがとう。」


彼が、私に想いを伝えたいと思ってくれたから、
此処に、こんなに素敵な時間があるんだね。


涙声の愛してるの言葉に、
彼は、少しだけ困った顔をして、微笑んだ。


私が思っていたよりも、
私は、ずっと彼に愛されていて、
そして、きっと、
彼が思っていたよりも、
私は、ずっと彼を愛している。