拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

KANATA 15

小さなクリスマスツリーを飾って、
彼と一緒に、ケーキを食べた。
今日は、クリスマスイブ。


「雪、降らなかったね。」


数十年振りに過ごす、彼と2人きりのクリスマスだから、
雪が降ったら、もっと、素敵だっただろうなって、
なんとなく、そんなことを考えながら、窓の外を眺めた。


『なんで雪?』
「なんとなく。」


それ以上は、言葉にしないまま、
今夜の私たちは、
一緒に過ごしたクリスマスの思い出なんかを語り合いながら、時間を過ごした。


愛してるよ。


今夜も、いつもの挨拶と共に、通話を終了すると、
私は急いで、パーティーのあと片付けをして、準備に取り掛かった。


彼が亡くなってからの、彼へのクリスマスプレゼントは、
毎年、少し遅い時間に、彼の場所へとお供えをしている。


明日の朝、目覚めた彼の枕元に、
このプレゼントが届いていますように。


そんな願いを込めて。


彼が亡くなってから、ずっとそうしてきたけれど、
ところで、彼は眠るのだろうか。

 


『何色がいい?』


ピンク!
今度は、オレンジ色。
次は、青。
やっぱり、黄色がいい。
もう一回、ピンクに戻して?


『え?もう、めんどくせーな。これでどうだ!』


虹花草が咲く場所に、色とりどりの雪が降る。


「わぁ、綺麗。」


飽きもせずに雪を眺める私を、
不意に後ろから抱き締めてくれた彼は、
私の手をとって、舞い落ちてきたピンク色の雪をひとつ、
掌に乗せてくれた。


それは、瞬く間に、蝶へと姿を変えて、
鮮やかなピンク色の鱗粉を振り撒きながら、
空高くへと、飛び立った。


「凄い!凄く綺麗!」


飛び跳ねんばかりに興奮する私を、
後ろから優しく包んでくれるのは、彼の温もり。


彼が見せてくれたこの景色を、絶対に忘れない。