拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

電話での第一声

あなたへ

 

俺ね、友達と電話で話す時、何故か敬語になっちゃうの

だから、俺の両親は、俺が友達と話す時は、

いつも敬語だと思っているんだよ

 

あなたがこんな話をして聞かせてくれたのは、

私たちが出会ってから、

どれくらいが経った頃だったでしょうか。

 

お疲れ様です

今、何してるんですか

 

友達に電話をするあなたのこんな声を初めて聞いた日は、

いつかのあなたが話してくれた通りで、

なんだかとても可笑しかったこと、

今でも、よく覚えています。

 

普段は、メッセージで、友達と連絡を取り合うあの子ですが、

珍しく、友達に電話を掛けたのは、先日のことでした。

その時の、あの子の第一声、何だったと思いますか。

 

お疲れ様です

今、何してるんですか

 

私の耳に届いた、よく知っているフレーズに、

思わず、笑ってしまいました。

 

あなたを見送り、成長と共に、

あなたによく似て来たあの子ですが、

こんなところにも、またひとつ、

あなたによく似たところをみつけました。

 

あの子のこんなところは、あなたに似ているね

 

こんな言葉を、宝物のように集めていたあなた。

 

もしも、あなたが此処にいてくれたのなら、

あの子の声を聞きながら、

どんな嬉しそうな顔を見せてくれたでしょうか。

 

さて、今日は、ひとつだけ。

私には、聞くことの出来ない、未来のあの子の言葉を当ててみます。

 

いつか、ずっと先の未来。

 

あの子が結婚したらね、

仕事中に届いた、

早く帰って来てねって、奥さんからのこんなメッセージに、

あの子は、きっと、仕事が終わると、早々に、

奥さんに電話をして、こう言うのよ。

 

メッセージ頂きまして、ありがとうございます

今から帰ります って。

ちょっとだけ、かしこまった声で。

 

ねぇ、あなたは、覚えていますか。

あれはまだ、元気に仕事をしていた頃のあなた。

 

いつだったか、

早く帰って来てねって、私から、あなたへのメッセージに、

仕事を終えたあなたは、

何故だか、ちょっと、かしこまった声で、電話をくれたの。

 

メッセージ頂きまして、ありがとうございます

今から帰ります って。

 

いつもは使わない言葉で話すあなたが、

なんだかとても可笑しくて、笑ってしまったこと、

今でも、よく覚えています。

 

先日の、あなたと同じ言葉を使うあの子の声に思い出した、

いつかのあなたの、かしこまった声。

 

きっと、いつか、あの子も、あんなふうに、

大切な人へ電話をする日が来るのでしょう。