あなたへ
いつからだろう。
あなたの遺影を見つめる私の視界の端に、
時々、見えるものがあります。
それは、白い煙のようなもの。
あなたを見送り、
いつの頃から見えるようになったのか、
視界の端に、ふわりと映り込む白い煙は、
一瞬で消えてしまうけれど、
気のせいにしては、随分と、存在感を纏った気がするそれは、
まだ、誰にも話したことのない、
あなたを見送ってからの私が、見えるようになったものです。
ねぇ、あなたは、何処にいるの?
不意に寂しさがやって来ると、
あなたの前に座り込んで、じっと、あなたを見つめる私。
突然に、写真が写真じゃなくなって、
あなたが話し掛けてはくれないかなって、
いつまで待っても聞こえない、あなたの声を待ち続ける私の視界の端に入る、
白くふわりとしたものは、
いつでも、その全貌を確認する前に、消えてしまうの。
お線香を立てているわけでもないのに、
これは、あなたの場所だけで起こる、不思議な現象です。
ねぇ、あなたは、何処にいるの?
不確かで、曖昧なその存在を見失わないようにと、
あなたは、時々、私の視界の端に映り込んでは、
こうして、知らせてくれているのでしょうか。
此処にいるよ って。