拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

我が家のハロウィン様式

あなたへ

 

あの子が、幼稚園に上がった頃からだったでしょうか。

毎年のハロウィンには、

あの子にお菓子をプレゼントするようになった我が家。

 

Trick or Treat!

 

幼かったあの子の可愛らしい声を、

あなたは、覚えているでしょうか。

 

あれは、あなたを見送り、

初めてのハロウィンを迎えた日のことでした。

毎年と同じように、

お菓子をプレゼントしようとした私に、あの子は言ったの。

 

枕元に置いて欲しい って。

 

突然のあの子の言葉に驚きながらも、

あれからの毎年、

あの子がお風呂に入った隙に、

枕元に、お菓子を置くことにした私。

 

毎年、枕元のお菓子を見つけると、

今年も置いてくれたんだねって、嬉しそうにするあの子に、

何故、あの年に、

お菓子を枕元に置いて欲しいと言ったのか、聞いてみたのは、

あなたを見送ってから、何度目のハロウィンのことだったでしょうか。

 

あの年のことを振り返ったあの子は、

自分でも、どうしてそう言ったのか、分からないままに、

でも、嬉しいと、そんなふうに答えてくれたのでした。

 

当たり前に側にいてくれたあなたが、此処から居なくなり、

あなたの代わりに、私を守ろうとしてくれたあの頃のあの子は、

此処にはいないあなたを探して、

泣き出すことも、取り乱すこともなかったけれど、

今、振り返ってみれば、

あれは、あの子なりの愛情の探し方だったのかも知れません。

 

あの頃のあの子が、何を考え、

枕元にお菓子を置くことを望んだのか、

本当のことは分からないままで、

時に、あの頃のことを思い返しながら、思い悩むこともありますが、

あの子が、喜んでくれているのなら、

この形も、悪くはないのでしょう。

 

あなたを見送ってから、趣旨が変わり、

我が家独自のハロウィンの過ごし方ですが、

あの子が喜んでくれるのなら、それで良い。

 

さて、今日は、ハロウィンです。

今夜も、あの子がお風呂に入った隙に、

枕元に、お菓子を置いておきたいと思います。

 

あなたが此処にいてくれた頃は、

当たり前に聞こえていたあの子の、

Trick or Treat! は、

もう、此処には聞こえませんが、

今年もまた、お菓子を見つけたあの子の、

嬉しそうな声が聞こえるのでしょう。