拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

松茸と氷柱

あなたへ

 

うちの山の何処かに、

松茸が生える場所があるんだけれど、

親父しか知らないんだよ

一緒に山に登ったことはあるのに、

松茸が生える場所へは、

一度も一緒に行ったことがなかったな 

 

幾つかの山を持つあなたの実家。

 

その何処かに、松茸が生える場所があるのだと、

こんな話を聞かせてくれたのは、

あなたのお父さんを見送り、初めて迎えた秋の頃でした。

 

あの頃のあなたは、

時々、あなたのお父さんのことを、話して聞かせてくれましたね。

 

こちらでは、秋も深まり、朝晩は、

肌寒さを感じる季節になりました。

 

空を見上げて、ふと、思い出したお父さんの松茸の話。

 

きっと、その場所は、お父さんだけの秘密の場所なんだね

 

あの年の私たちは、

そんなふうに、笑い合いましたね。

 

あれは、あなたと過ごした最後の秋のことでした。

 

松茸が生える場所を秘密のまま、

そちら側へ旅立ってしまった、あなたのお父さんと、

剣みたいな氷柱が出来る場所を秘密のまま、

そちら側へ旅立ってしまったあなた。

 

ふと見つけた、お父さんとあなたの共通点に、

思わず、笑ってしまいました。

 

なんだか、親子そっくりね。

 

2人の秘密の場所が、

何年経っても、変わらずに、いてくれますように。

 

夜風にそっと、願いを乗せて、

そちら側で笑う、お父さんと、あなたを想いました。

 

 

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