拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。

MP3プレイヤー

あなたへ

 

いつかのクリスマスに、

私の枕元に置いてくれたMP3プレイヤーを、

あなたは覚えていますか。

 

あれは、あの子が、小学生だった頃のことでしたね。

 

あなたがくれたプレゼントが、とても嬉しくて、

あの頃の私の側には、いつでもMP3プレイヤーがありました。

 

時々には、あの子が眠った後で、

テレビを観るあなたの隣で、音楽を楽しみました。

 

ねぇ、あなたは、覚えていますか。

 

あの時のあなたったら、何故だか、

コマーシャルになる度に、話し掛けてきたの。

 

え?え?って、

イヤホン越しに、あなたの声を聞いてみるけれど、

結局は、あなたの声が聞き取れなくて。

 

イヤホンを外した私の耳に届くのは、毎回、

他愛もない話。

 

わざと話し掛けているの?

 

なんて私の言葉に、

あなたは、悪戯顔で笑ったのでした。

 

バレた?って。

 

あれは、コマーシャルの度に、邪魔をされながら、

とても忙しく音楽を聴いた、

ちょっと笑ってしまう思い出。

 

ママは、寝る時に、音楽を聴いてるでしょ?

僕、知ってるよ

 

これは、いつかの眠る前のあの子の言葉。

 

あの子が起きて、側にいる時間には、

音楽を聴くことはありませんでしたが、

何故だか、あの子は、

私が眠る前に、音楽を聴いていたことを知っていたのでした。

 

あの子が眠るまでの側にいる時間、

僕も音楽を聴きたいとせがむあの子と一緒に、

布団の中で、

片耳ずつ、イヤホンを着けて音楽を聴いたあの時間は、

後に、あの子が音楽に興味を持つきっかけになりました。

 

あの頃の私は、あなたがくれたMP3プレイヤーに、

お気に入りの音楽をたくさん詰め込んで、

何処へ行く時も、必ず持ち歩いていました。

 

専用のポーチにMP3プレイヤーを入れて、

少しでも時間が空けば、

いつでも、音楽を楽しみました。

 

今は、携帯電話があれば、

好きな音楽を聴くことも出来れば、

動画を観ることも出来るけれど、

時々の私は、眠る前に、

あの頃のMP3プレイヤーで、音楽を聴いています。

 

あの頃、好きだった音楽を聴いて、目を閉じると、

あの頃の私が見ていたものが、

すぐ目の前に、鮮やかに蘇ります。

 

今夜は、久し振りに、

MP3プレイヤーの充電をしながら、

枕元に、

このプレゼントを見つけた、クリスマスの朝を思い出していました。

 

小さな機械だから、これなら、持ち歩くことも出来るでしょ?

 

大喜びで、プレイヤーを見つめた私の耳に届いたのは、

こんなあなたの声。

 

ありがとう

ずっと大切にするね

 

あの頃の言葉の通り、

今でも、これは、私の大切な宝物です。